◆緊急事態宣言下における新郎新婦のご質問に対する回答例◆
カテゴリー :収容人数制限
該当する施設:緊急事態宣言対象施設
Q.(新郎新婦が「収容率50%以下にしてほしい」という会場の提案をお受けにならず、収容率60%で披露宴を開催しました。開催前に会場側が「業界ガイドラインに基づくご提案を行なったこと」についての書面に新郎新婦はご署名済みです。開催後、親族が7名コロナ感染してしまい「結婚式が原因に違いない」と親族より直接会場に電話が入ったケースを想定しています。)
結婚式の参列が原因で、親族がコロナに7名も感染しました。どう責任を取ってもらえますか?
「まずは感染された皆様に心よりお見舞い申し上げます。1日も早いご快復を心からお祈りしております。
なお、責任というお話しですが、弊社は事前に新郎新婦の了承を得た上で披露宴サービスを提供しており、提供に際しては、ご参列者の皆様への検温の実施や消毒液の設置、そして館内換気の徹底など感染予防に万全を期しております。また、当日お手伝いをした当社スタッフの中でも感染者は出ておらず、当社サイドから感染させたということは現時点では考えにくいと思っております。もしその感染が結婚式に起因したもので、また弊社の対応に法的な意味での落ち度があれば、当然ながら誠実に法的な責任を果たしてまいります。
ただ、現時点においてはそうした責任が生じているのかどうかの確証が得られておりませんので、具体的な対応をお約束できる段階にございません。今後もし保健所から調査協力などがあれば全面的に協力してまいります。」
結婚式の収容率が5割を超えていたのではないか?それが原因だったのではないか?
「当社と新郎新婦との間での具体的な協議内容をお伝えする訳にはまいりませんが、結婚式の演出内容やテーブルの配置については新郎新婦と協議の上で、最終的には新郎新婦のご決定に従って準備しております。また、弊社は感染予防に万全を期しておりますし、収容率が5割を超えたからといって直ちにそれが原因で感染が拡がった、という関係性が認められるとは考えておりません。今後もし保健所から調査協力などがあれば全面的に協力してまいります。」
【法的側面からの解説】
法的な責任を負うのは、その損害が「会場側の落ち度」に起因するものである、という関係性が認められた場合に限られます。もし「参列者に感染者がいて同じテーブルの参列者に感染させた」という場合にまで、会場側の法的な責任が常に認められるかといえば、そんなことはありません。当該感染の拡大が結婚式に起因するものであったのか、また会場側に法的な責任があるのかがはっきりしない状態では、「会場側の法的な責任」を認めるような発言はしないよう心掛けておくことが無難と考えます。初期段階の会場としては、感染された方々への「お見舞い」と、「保健所から依頼があれば全面的に協力する」というスタンスを伝えることで、充分に誠実な対応であろうと考えます。
新郎新婦にはかわいそうなので、この電話については内緒にしてください。
「当社は新郎新婦とのご契約に基づき結婚式サービスを提供させていただいておりますので、そのご契約に関して特定の参列者様に対して何らかのご対応をする場合に、契約当事者である新郎新婦にそれを秘匿するということは出来ません。もし当社に対して何らかの対応をお求めになる場合は、恐縮ですが、新郎新婦に報告し、協議の上で対応を検討させていただくこととなります。」
【法的側面からの解説】
法的には参列者(親族であっても)は契約当事者ではありませんので、参列者からの要望を受けて、新郎新婦に無断で結婚式契約に関連した対応をするというのは、仮に契約上の違反とはならなくても、後から新郎新婦より「なぜ私たちに相談せず勝手に対応したのだ」との(まっとうな)批判を受ける危険性がありえます。
こうしたお問い合わせに限らず、結婚式契約の当事者は「新郎新婦と会場」であるという原則を前提に対応を検討すべきと考えます。
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