「持込」問題にどう対処すべきか? 第4回 消費者契約法第10条に違反するのか

 第2回で紹介したように、平成30年1月30日付の日本経済新聞夕刊(東京版)は

 高額な持込料について、消費者庁消費者制度課は「一般論だが、消費者に一方的な不利益になる取り決めを禁じる消費者契約法に触れる可能性がある」とする。

と、「高額な持込料」について消費者契約法に抵触する可能性を指摘しています。

 具体的に、全国の会場が設定されている持込料が消費者契約法に抵触する危険性はどの程度のものなのでしょうか?

 問題となるのは同法第10条ですので、まずはどんな条文なのか確認してみましょう。

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)

第10条 

消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

 う~ん、法律を読みなれていないと分かりづらいですよね(笑)。

 敢えて意訳するとこういう意味になります。

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)

第10条 

消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する条項であって、信義誠実の基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効とする。

 この点、「持込規制の設置」が直ちに「消費者の利益を一方的に害するもの」で「消費者契約法に抵触する」という単純な図式ではないことに注意が必要です。

 そもそも各婚礼会場には「営業の自由」があり、どのようなサービス内容とするか、つまり持込を規制するか否か、規制するとして全面禁止とするか持込料を設定するかについては、各々が「任意にルールを決定することができる」のが大原則です。その上で、その規制のあり方や金額を踏まえ、たとえばあまりに「高額過ぎる」などの理由で、いくらなんでもそれはあんまりだ、つまりその規制が「信義誠実の基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」のではないか、とまで言える例外的なケースにおいて、はじめて消費者契約法第10条の問題になり得る、という関係性になります。

 残念ながら、特に消費者問題に関しては、まさに今回の日経の記事のように「何々は何法違反の疑いあり」などという短絡的な、または正確とは言えない極端な見解が伝播しやすく、その都度事業者としては心配な思いをするのですが、改めて整理すれば、会場には「営業の自由」があって、どんな婚礼サービスを、どのくらいの価格で、どのような条件下で提供するかはすべて決めることができます。

 一方で新郎新婦に、他者(婚礼事業者)が管理している施設において「持込を含めなんでもかんでも自由に決められる権利」が法律上も道義上も認められていないのは自明であって(旅行のパックツアー商品において予め日程や行き先が決まっている場合、旅行者はそのツアーに参加するのであれば、「こうしてもらえないか」と要望を出すぐらいは構わなくても、最終的に旅行会社が出した結論には従わないといけないのは当たり前ですし、それが嫌ならそもそもパックツアー型の旅行には参加しないでください、という道理と似ていると思います)、こうした「原則」を踏まえれば、現実的に消費者契約法第10条の問題になるケースは、「あまりに法外に高額な持込料が設定されている」等ごくごく例外的なものだと考えます。

 このあたりについて日経の記事はかなり雑な書き方をしているため、もし新郎新婦が日経記事を読まれた場合には、「持込を規制すること」自体が「消費者契約法第10条に触れる可能性がある」と誤解している危険性があるので、その場合には丁寧な説明をして差し上げる必要があろうかと思います。

第4回 おわり