「持込」問題にどう対処すべきか? 第8回 新たな設計のあり方についての提言

  ここまでの検証をまとめると、以下のように整理できるでしょう。

1.一般的な「持込」規制は、直ちに法律上の問題が生じるものではない。

  したがって、どのような規制であろうと、基本的には法的に否定されるものではない。

2、しかし「持込」規制は新郎新婦にとってはその目的が分かりづらい規制といえ、

  また実際に合理的な説明は簡単ではなく、説明のあり方には慎重な検討が求められる。

 つまり、この問題の本質は法律上のものではありません。

 会場が「持込」をどう捉え、それをどういう根拠を示してお客様に分かりやすくご案内するか、に尽きると言えます。

 今後、「持込」規制について、会場には以下の3つの選択肢があると考えます。

選択肢① 現状のままの「持込」規制を存置する

  第4回と第5回で解説したように、一般的な「持ち込み」規制そのものは法令に違反するものではありませんので、現行の規制を存置しても法的な問題は生じないでしょう。

  ただこの選択肢の弱点は、法律を離れた場面で、日に日に「持込」規制の合理性に対する逆風は強まることが予想される中、その方針が顧客に支持されうるかという課題と向き合い続けないといけないことでしょう。

選択肢② 「持込」規制を撤廃する

  新郎新婦との間で問題になりやすく、現状こうして世間的な風当たりも強くなってきたのであれば、いっそ「持込」規制を撤廃してしまえ(または、元々設置していなかればそれを継続しよう)という判断もありうるでしょう。

  ただ、会場の利益構造上問題ないのか、また円滑な結婚式の進行の観点から全くの無制限で大丈夫かという課題は残ります。この点、前者については各会場の事情に委ねるしかないのですが、後者については「会場が提携していない事業者をお客様の希望で手配する場合には、当日その事業者に起因して問題が発生しても会場は責任を負いません」という趣旨の書面に署名をもらっておく、という対策もありうるかと思います。

選択肢③ よりご納得をいただきやすい「別の形式」で「持込」規制を維持する

  法律的に問題はなく、その存在に一定の合理性があるにもかかわらず、顧客には感情的になかなかご納得いただきづらいのが「持込」規制の特徴です。

  そうであるならば、新郎新婦にご納得をいただきやすい形式に変更することも一案です。

  たとえば、「持込む場合は追加で持ち込み料が発生します」という「追加料金積み上げ型」の形式ではなく、「外部手配をしないお客様には特別割引オプションがあります。外部手配をされるお客様には適用されません」という形式、つまり、「持込みをしないお客様には割引をする」という形式をもって、実質的な「持込」規制へ誘導していくという方法もありうるでしょう。

  その際の説明のあり方としては、正直に、たとえば「当会場は当日の結婚式が円滑に進行するよう、当会場が普段提携しており、自信をもってお客様にご案内できる実績を備えた事業者を利用しての挙行をお勧めしております(目的②を前面に)。また提携先の事業者には、普段から多数の取引があることからボリュームディスカウントが適用されるため(目的①にも触れる)、その分をお客様のご請求から割引するオプションを設置しています。ぜひご検討ください」などのようにご説明をつければ、そこに嘘は全くありませんし、新郎新婦にもメリットが分かりやすいのではないでしょうか(「割引はなくていいから持込みたい」というお客様には、割引が適用されない分、実質的に持込料を回収できますし、また上記の「覚書」に一筆入れてもらうことで円滑な進行ができなかった場合の保険を備えることも可能です)。

  その場合には根本的に収支構造を見直し、基本料金の設定をし直さないといけませんが、それさえ出来れば、「なぜ外部からの持込にお金がかかるのか」という感情的な新郎新婦の不満は発生せず(あるいは軽減され)、説明するスタッフにとっても、「追加料金積み上げ型」方式よりも相当自信をもって説明が出来るのではないでしょうか。

  ブライダル業界の長年の慣習として、あるいは当然の前提として存在し続けてきた「持込」規制ですが、じわじわと外圧が強くなってきました。

  ここで我々が勘違いして自信を喪失してはならないのは、決して「持込」規制自体が違法ではないということ、そしてその存在根拠には一定の合理的な理由があるということです。

  しかし一方で、感覚的に新郎新婦に納得していただきづらいテーマであり続けている、という現状はなんとか打開していかないといけません。上記の「第3の方法」を叩き台に、会場側の利益やニーズを守りつつ、新郎新婦に納得してもらいやすい制度の構築と導入が広まることを願ってやみません。

第8回 おわり