「持込」問題にどう対処すべきか? 第9回 ブライダル事業者が留意すべき点

 ここまで8回にわたり「持込」規制についての考察をしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

 業界の中にいると当たり前のことも、外部から見ると異様に映ったり、あるいは合理性を疑われたりすることがあり、その典型例として「結婚式契約における持込規制」の問題が、今、取り上げられてきています。

 「日本初のブライダル事業専門の総合法務サービス」という肩書を冠して事業を展開する私たちBRIGHTとしては、単に「法的な問題があるのか」という視点だけでなく、「ではどうしたら適法で、かつ新郎新婦にもご納得いただきやすい制度となりうるのか」まで踏み込んだ提言をしたいと思い、検討に検討を重ね、本稿をまとめるに至りました。

 ここまで読んでいただいた全ての方に御礼を申し上げるとともに、本稿で提案した内容が決して最終的なものではなく、願わくばこれを「たたき台」にして、心ある業界人の方々と議論を重ねてよりよいものを創り上げていく契機になればとの思いで本稿を執筆したことを、ここに記しておきたいと思います。

 「結婚式」は、それまで他人同士だったカップルが家族となったことを、各々を育んできた両家親族または恩師や友人等に披露し、祝福を受けるという、人生において他に非類するものない幸せな、そして重要な機会です。また、そこに参列した人たちの多くは、目の前の新郎新婦の姿から自らを省み、自らの家族の絆に感謝し、その尊さに思いをはせる貴重な機会を得るはずで、社会的にも大変大きな意義をもつ文化でもあります。

 私たち、ブライダル事業者は、決してその火を、この国から消してはいけません。

 一方で、結婚式が社会的な意義をもつものであることからこそ、私たちは社会的な流れや世間的な価値観の移ろいに対して盲目であってはいけません。法律に合致しているか否かも大切ですが、それ以上に、日々移りゆく世間からの目線にさらされたときに、いつでも胸を張って応えることのできる業界であり続けないといけないと痛感しています。

 本稿で取り上げた「持込」規制の問題は、以前から課題を指摘され続けてきながら、いわば放置されてきたテーマのひとつという捉え方も出来るかと思います。それが今般の消費者団体の動き、そしてそれを報じる日経新聞の記事により光が当たってしまったという事実に、業界をあげて危機感を共有すべきであろうと私は思うわけです。

「業界が昔からそうだったから。」

「当社はそう決めているから。」

「慣習上そうだから。」

 それだけの理由で「持込」規制を継続していくと、おそらく、徐々に世間の結婚式に対する評価そのものの低下に繋がっていってしまうことでしょう。

 私もこの業界に身を置くひとりの人間ですので、今般の(一方的な面の目立つ)日経記事の内容にはいくつか納得できないこともあります。それでも、だから無視する、または座視するという選択肢は、とり得ない、とってはならないものと考えるのです。

 ここまで明確に疑問が投げかけられている以上、まずは私たちひとりひとりが、自社としては「持込」規制をどうするのか、それを考え、結論を出す必要があります。そして、その結論を個々の新郎新婦に、丁寧に、誠実に説明する、その努力を怠ってはいけません。

 幸いなことに、「持込」規制そのものは法律に抵触するものではありません。存置するもよし、撤廃するもよし、新たな形式に変更するもよし。それは個々の事業者の判断に委ねられています。

 ただ、いずれの選択をしたにせよ、それを新郎新婦に誠実に伝え、契約前に同意を得るという当たり前の姿勢に、「持込」規制の問題を本質的な意味で解消するための「答え」があると私は信じています。そんな願いを込めて、本稿を執筆いたしました。

 ご批判や反論等も含め、本稿に対する皆様のご意見をお聞かせいただければ幸いです。

 全9回にわたる長文のコラムでしたが、最後までお読みいただきありがとうございました。今後ともBRIGHTを宜しくお願い致します。

 BRIGHTの発足以来変わらぬ使命

“ブライダル業界の守護神たれ。”

株式会社ブライト代表取締役 夏目哲宏