契約前の約款の説明に注意! 「消費者契約法」さらに厳格化へ
「事業者」が新郎新婦等の「消費者」と契約を 締結する場合に適用される「消費者契約法」の 改正案が、2日に閣議決定され、国会に提出さ れました。
新聞各紙の報道によれば、今国会で 成立する見込みとのことです。
★消費者庁による改正案の解説等 http://www.caa.go.jp/soshiki/houan/
主な改正内容は、消費者の不安を過度にあおって 商品等の販売をする行為やいわゆる「デート商法」 等によって契約をした消費者に取消権を与えるもの など複数項目にわたるところ、ブライダル事業者が 特に注意すべき点としては「不利益事実の不告知」 の要件が緩和された点が挙げられます。
******ここがポイント!*******
「不利益事実の不告知」とは、事業者が消費者に 営業活動を行う際に、消費者にとって利益になる ことを告げながら、不利益になることを「故意に」 告げずに契約した場合において、消費者がその不利 益がないものと誤認して行った契約は、後に取り消 すことができるとするもので、同法第4条第1項に 規定されています。
今般の改正案では、事業者が「故意に」不利益事実 を告げなかった場合に加え「重大な過失によって」 告げなかった場合にも取消権の発生を認めると、 一部要件を緩和しています。
つまり、たとえば結婚式の案内をする中で不利益な 契約内容を新郎新婦に告げていない事例があった 場合において、従前は事業者側が「わざと告げて いなかった」場合に「不利益事実の不告知」が問題に なりえたところ、改正後は「(事業者側が)凡ミスで 告げなかった」場合にも取消権が発生する可能性が 出てくる、ということです。
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BRIGHTで把握する限り、 未だ「不利益事実の不告知」を理由にブライダル関係の 契約が取り消された裁判例はありませんが、 平成27年7月に東京都消費者被害救済委員会が公表した 斡旋事例においては、ブライダルフェアにおける 事業者側の営業のあり方に対し「不利益事実の不告知」 に該当しうるものがあったと指摘する記述もありました (その事例においては事業者側にかなり厳しい裁定が 下されています)。
今般の改正を受けて、事業者が約款等の内容を顧客に 伝える際のあり方について厳しい目が注がれることは 確実で、特に「キャンセル料」や「持ち込み規制」等、 新郎新婦にとって不利益になり得る部分の説明は、 これを徹底する必要性が増してくるでしょう。