「対岸の火事ではない」アマゾン独禁法騒動
3月15日付日本経済新聞等の報道によれば、公正取引委員会は、インターネット通販大手のアマゾンジャパンに対し、独占禁止法違反容疑で立ち入り検査を行いました。
アマゾンジャパンが、商品の納入業者等の取引先に「上代値引きに伴う下代値引き」を求めたり、システムの更新等を理由に販売額の一定割合の負担を求めたりした行為が、同法の禁じる「優越的地位の濫用」に該当する疑いがあるとのことです。
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ブライダル業界においては、一昨年の6月に公正取引委員会が、取引先におせち等を強制的に販売したなどとして大手結婚式場運営事業者に向けて下請法違反の勧告を出し話題となりましたが、独占禁止法は下請法と同じく「不公正な取引条件の是正」等を目的とした法律です。
昨年には公正取引委員会より、ブライダル業界においては独占禁止法違反が疑われる事例が少なからず認められる旨の調査結果が公表されています。
独占禁止法が禁じる「優越的地位の濫用」とは、請負事業者に対して優越的といえる立場にある発注者がその立場を利用して無茶な取引条件を押し付けたり、契約外の役務の提供を求めたりすることを禁じたものです。
発注者と請負事業者との関係が「優越的」と言えるかどうかは個々の事情を踏まえ判断されるものですが、ブライダル業界においては、たとえば、あるホテル・式場と提携している司会事業者があって、その司会事業者の年間のお仕事の大半がそのホテル・式場からの発注である場合には、実質的にホテル・式場の要求に対してNOを言えない関係がある、つまり、ホテル・式場は「優越的な地位」にあると認められる可能性があります。
その上で、そのホテル・式場が司会事業者に対して、発注後に下代の値引きを求めたり、ブライダルフェア等におけるサービス提供(ただし社会一般の常識の範囲内であれば問題ありません)を求めたりした場合には、ホテル・式場が「優越的な地位」を濫用して請負事業者に無理を言った、ということで、同法違反を指摘される危険性が出てきます。
万が一同法違反で立ち入り検査等を受けた場合には、その検査結果がどうであれ、ホテル・式場の大きなイメージダウンにつながることは確実です。
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ホテル・式場の皆様としては、アマゾンジャパンの今回の件を「インターネット取引の超大手だから自分たちには関係ない」などと対岸の火事として捉えるのではなく、「知らず知らず自分たちも優越的な地位を濫用していないだろうか」と他山の石として捉えるべきであろうと考えます。
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