5月20日付日本経済新聞の報道によると、特許庁が「店舗の内外装」を意匠権の保護対象に加える方針で検討に入ったようです。
商標権や特許権と同じ知的財産権のひとつである意匠権は、主に自動車や家電等の「製品のデザイン」が不当に模倣されるのを保護する権利とされ、現状では「店舗の内外装」の模倣はこの対象とはなっていませんでした。
そのため、「店舗の内外装」のオリジナルデザインを第三者に不当に模倣されたような場合においては、不正競争防止法を盾に対応していくしか方法がありません。
しかし不正競争防止法違反を根拠に使用差し止めや損害賠償を求めるには、自らのオリジナルデザインに「周知性」が存在していたことが必要となるなどのハードルがあり、特許庁は、この現状を是正しようと意匠権の対象拡大の検討に入ったということです。
********ブライダル事業者さんにはここがポイント******
ブライダル業界においても、式場の内外装は各会場の重要な個性となっており、集客に対する影響力にも大きなものがあります。
そのため業界の中では「この施設の外観は、あの施設を真似たのではないか」等と、事業者間でのいわゆる「パクリ」の有無が話題になることも少なくありませんでした。
今後意匠権の対象に「店舗の内外装」が含まれることになれば、自らの「結式場の内外装」のオリジナル性を保護したい事業者にとっては、「意匠権登録」という新たな手段が与えられることになり、侵害行為があれば、意匠権に基づいて権利主張ができるようになります。
ただし、意匠権の登録には、そのデザインに「新規性」が認められること等の別の要件を満たすことが必要となるため、あらゆるデザインが登録できるわけではないことには注意が必要です。
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特許庁は2019年の通常国会へ意匠法改正案の提出を目指しているとのこで、特に店舗開発関連の業務に従事している方にとっては注目すべき動きになりそうです。