【この記事は、2020年3月5日現在の状況です。】
新型コロナウイルスの流行とこれを受けての日本政府による異例の「イベント等の開催自粛要請」(北海道においては「非常事態宣言」も)により全国の結婚式で「中止」(解約)または「日程変更」が続発しています。 BRIGHTでは以前から、いくら新型コロナウイルスへの不安感が強かろうが 物理的に結婚式の開催が可能である限りは「中止」「日程変更」は『顧客都合』であり、法律上はキャンセル料や日程変更料は請求可能、とご案内してきました。 ただそれには「もし日本政府から外出禁止令などがない限りは」という条件を付けておりましたが、今回の要請や宣言はまさにそれに近いものであり、現状では要請期間中の開催を「中止」「日程変更」する行為はすんなり『顧客都合』とは言えなくなったものと考えます。 (厳密には結婚式そのものに対して自粛要請がなされたものではありませんが、 一定の人数が一定の空間を一定時間共有する枠組みは、自粛対象に極めて近いと言えます。) そのため、「要請」の効果についての法律的な解釈は微妙なところが残るものの、 サービス業の実態としてキャンセル料や日程変更料の減額等の一定の「特別対応」を取らざるを得ない状況にあると考えます。 ただ、もっと大切な問題は『この特別対応をすべき顧客をどこで区切るか』という点にあります。 やや極端な例ですが、今年の秋口の予定の新郎新婦が「新型コロナが心配なんで」という理由で解約の申し出があったとして、その顧客まで「特別対応」をする必要があるのでしょうか? それは(現時点では)おかしいですよね。 では、日本政府が「今後2週間」と設定した期限を超えてすぐの週末の新郎新婦ならどうでしょう? 要請期間を超えているとはいえ、配慮が必要な気もします。 BRIGHTとしては、このように企業側に大損害を与えかねない「特別対応」が ズルズルと拡大してしまうことを一番憂慮しています。 どこかで「歯止め」を設定しなければなりません。 ここが最大の課題だと認識しています。 そこで、BRIGHT内の弁護士含め熟慮を重ねた結果、 「逆に、この日本政府や北海道が出した要請期間をひとつの基準にしてはどうか」 という結論に至りました。 考え方の一例はこうです。 ① 日本政府や自治体がイベント等の開催自粛要請をしている期間 ⇒ 会場としても全面協力するので、自粛要請を受け入れる顧客については 「特別待遇」を提供する。 ② 日本政府や自治体がイベント等の開催自粛要請をしていない期間 ⇒ 会場としては衛生面に配慮した上で開催準備をするので、中止や日程変更は あくまで顧客の「自己都合」として取り扱う。 つまり、昨年台風襲来時の対応についてご提案した際に示した 「気象庁がこの警報を出したら自動的にこうなる」 というように『判断の基準を公の機関の判断に求める方針』を、感染症対策(これは今回の新型コロナに限らず今後の方針として適用できます)でも活用しようという考え方です。 もちろん上記①②は「原則」なので、企業様ごとに「3月中については①と同様に扱う」等の別対応をしてもかまいません。 問題なのは「闇雲に特別対応が広がることに歯止めをかけること」です。 今の日本の法律では、感染症を理由に行政から強制的に結婚式を中止されることは考えにくいです。 (食中毒による業務停止など法令の根拠がある例外を除きます。) であるならば、どこかで誰かが「判断」をしなければなりません。 その「判断」の根拠を「行政の判断に置く」。 これが、婚礼の現場の精神的負担を抑え、かつ新郎新婦への説得力を増やす ひとつの最適解ではないかと判断し、ご提案する次第です。
具体的な「特別措置」案の内容や、「お客様向け書面」案は、 毎月定額「with BRIGHT」サービスのご利用者や主催セミナーへの参加者へ配信いたします。
(監修:BRIGHT 増渕勇一郎弁護士)