第二回は、ブライダル業界の契約業務における登場人物とその関係性について解説していきます。
第一回に引き続き総論的な内容ですが、いきなり個別の契約を学ぶよりも、全体の大まかな関係性を把握してから学んだ方が格段に理解しやすくなりますので、是非お付き合いください。
さて、ブライダル業界の契約業務における主な登場人物は、以下の5人です。
(人ではない場合もありますが、ご了承ください。)
1 お客様
2 結婚式場(ホテル、専門式場、レストランなど)
3 ドレスショップ
4 パートナー(食材、飲料、引出物、装花、メイク、司会、撮影、PA、演出など)
5 スタッフ(社員、アルバイト、派遣、業務委託など)
そして、登場人物と関係性のざっくりとしたイメージを図にすると、以下のようになります。
※緑字が「登場人物」で、赤字が「登場人物同士の関係性・取引」です。
では、まず登場人物について、解説していきます。
一人目は、「お客様」です。
挙式・披露宴を行いたい新郎新婦様がいることで初めて、我々のブライダルという仕事が成り立ちます。
お客様は、基本的には「結婚式場」と契約を締結します。
二人目は、「結婚式場」です。
ホテル、専門式場、レストランなど、挙式・披露宴を行う会場をさします。
ブライダル業界における契約業務については、この結婚式場を中心に考えるのがわかりやすいです。
三人目は、「ドレスショップ」です。
ウエディングドレスやタキシードなどの衣裳を、新郎新婦様に提供します。
四人目は、「パートナー」です。
パートナーには、様々な業種があり、食材や飲料、引出物の卸し、装花業務、メイク業務、写真・映像撮影業務、司会業務、PA業務、など多岐に渡ります。
五人目は、「スタッフ」です。
結婚式場、ドレスショップ、パートナーいずれにおいても必ずスタッフがいて、実際の業務を行うのはそのスタッフです。
では次に、各登場人物の間の関係性・契約について解説していきます。
まず、お客様と結婚式場の間の、 ⑴(受注/施行)についてです。
結婚式を挙げたい新郎新婦様(A様)と結婚式場(B式場)が、「A様がB式場で挙式・披露宴を行う」という契約を締結します。
この契約によって、A様はB式場に対して挙式・披露宴代金を支払う義務を負い、B式場はA様の要望に応じた挙式・披露宴サービスを提供する義務を負います。
次に、結婚式場とドレスショップ、パートナーとの間の、
⑵(送客・委託・仕入/受注・受託・卸し)です。
結婚式場とドレスショップとは、「送客契約(紹介や提携と呼ぶ事もある)」を締結します。いくつか種類はありますが、一番スタンダードなのは、「B式場は、CドレスショップにA様を送客し、CドレスショップがA様の衣裳を受注した場合、CドレスショップはB式場に、送客・紹介手数料を支払う」という契約です。
また、結婚式場とパートナーとは、「業務委託契約」や「売買契約」を締結します。
式場にとって、装花、メイク、司会、撮影、PAなど挙式・披露宴を行うにあたり無くてはならないサービスを自らに代わってお客様に提供してもらい、その対価として委託料を支払うというのが、「業務委託契約」です。
また、料理の食材を仕入れ、飲料を仕入れ、引出物を仕入れ、その対価をパートナーに支払う取引、これが「売買契約」です。
最後に、⑶(雇用/労働)についてです。
結婚式場、ドレスショップ、パートナーのいずれも、当然の事ながら実際の業務はスタッフが行うことになります。
スタッフと言っても、正社員、アルバイト、派遣労働者、業務委託など色々な種類があり、それらに応じて、「雇用契約」、「労働者派遣契約」、「業務委託契約」など契約の種類も色々あります。
以上、ブライダル業界の契約業務における登場人物とその関係性について解説してきました。
なんとなくイメージはつかめましたでしょうか。
今回のコラムでは、主な登場人物5人と、5人の間の取引・契約関係について解説する事で、契約業務の全体像をお伝えしてきました。
日常業務を行う上でも、全体像をおさえておくことは必ずメリットとなりますので、是非参考にして頂ければと思います。