【この記事は、2020年4月2日現在の状況です。】
以下に基本的な解説を記載させていただきます。
(1)スタッフが感染した場合の法的な対応
「食中毒」の場合などは保健所から営業停止の処分を下される等一定のルールが決まっているので、それに従うことになります。
ただスタッフが新型コロナウイルスに感染したことだけをもって、保健所から営業停止等の処分を受けるような法律の規定は見当たりません。
報道によればスタッフが感染してしまったホテルが休業を発表したりしていますが、あくまで「自発的に休業している」ものと思われます。
したがって、少なくとも「スタッフが感染したらこうしなければならない」と明確に決まったルールがある訳ではありません。
(2)スタッフが感染した場合の具体的な対応
上記の法律を踏まえ、具体的な対応を考えなければなりません。
ホテル業界の動向を見ていると「感染者と接触していたスタッフの2週間の自宅隔離」などは行っているようです。
また、そのスタッフの業種次第では取引先やお客様への通知も必要となるはずです。
基本的には、そのスタッフの役割(お客様と接していたのか、バックヤードなのか)、他のスタッフに発熱者などどの程度いるのかなどの状況と「保健所からどうアドバイスされているか」を参考に、一時休業するのか、接触スタッフの自宅待機だけに留めるのか、個別に判断していくことになるだろうと思います。
いずれにせよ「感染者出た=全面営業停止」が必須ではないことは間違いありません。
(3)お客様への補償
全国の事業者様からは「参列者などから『もし参列して感染したらどう責任取るんだ』という問い合わせがあり困っている」という相談を多くいただいています。
法律上は「会場側に責任があり、それが原因で感染して損害が出た」という関係性が立証されてはじめて法的責任を負う流れになります。
新型コロナウイルスの感染経路を特定するのは難しいですし、万が一会場の責任で(落ち度で)クラスターが発生した、というような関係性が立証されたような場合でない限り、直ちに法的な賠償責任が発生するわけではありません。