
第三回は、いよいよ具体的な業務内容について解説していきます!
今回のテーマは「契約書チェック」です。
業務経験が浅い方は、いきなり契約書チェックを頼まれても、「何をどうチェックしたらいいのか分からない」という状況に陥ってしまいがちだと思います。
そんなあなたに朗報です!
業務経験が浅くても、ポイントさえつかめば、契約書チェックはできます!
業務経験が浅い方向けにオススメの契約書チェックのやり方について解説していきます。
チェックの目的→チェックのポイント→チェックの具体的な方法
の順で解説します。
では解説していきます。
前提として、そもそも契約を締結する場合、大きく二つのパターンに分かれます。
①自社の契約書雛形を使う場合と、②相手の契約書雛形を使う場合です。
そのうち、主に②相手の契約書雛形を使う場合に、契約書チェックという業務が発生します。
契約書チェックの主な目的は以下の二つです。
①取引の内容が間違いなく書面に反映されているかどうかをチェックし、必要に応じて修正する。
②自社にとって不利な内容の取り決めが無いかどうかをチェックし、必要に応じて修正を相手に求める
まず最も大切なのは、①取引の内容が間違いなく書面に反映されているかどうかをチェックする事です。
なぜなら、契約書を作成する一番の目的は、取引の内容について後々お互いの認識にズレが生じないように、口頭ではなく書面に残すという事だからです。
具体的なチェックのポイントとしては、以下の項目などが挙げられます。
・契約の当事者が合っているか(名称、住所、代表者、個人か法人かなど)
・取引の内容が合っているか(売買の対象、業務の内容、取引の流れなど)
・契約の期間が合っているか(いつからいつまでか、自動更新があるか無いかなど)
・代金の額や支払い方法、支払いスケジュールが合っているか
次に大切なのが、②自社にとって不利な内容の取り決めが無いかどうかをチェックし、必要に応じて修正を相手に求める事です。
相手の契約書雛形を使う場合、相手に有利で自社に不利な内容の取り決めになっている可能性があります。
取引の立場によって、自社に不利な内容の条件をどこまで飲むかジャッジする事にはなりますが、契約書のチェック担当は、まず見つけられるだけ見つけることが求められます。
具体的な自社に不利な内容として、以下のようなものが想定されます。
・相手が契約内容に違反しても、自社から相手に対して損害賠償請求できない。
もしくは、請求できるとしても請求額が低い額で制限されている。
・相手の意思で一方的に契約を契約期間の途中で解約できる。
・契約期間中は自社の意思で契約を途中解約できない。
もしくは、途中解約する際に違約金が発生する。
・相手の意思で代金を増額できる
(店舗などの賃貸借契約のオーナーとの契約における家賃など)
さて、それでは上記の目的・ポイントを踏まえ、具体的なチェックの方法について解説します。
やり方は人それぞれだと思いますが、今回紹介するのは、とてもシンプルな方法です。
その方法とは、ズバリ「自社雛形と比較する」というものです。
簡単3ステップです。
①適切な内容の自社雛形を準備する
②相手雛形の書面と比較し、相違点、過不足のある内容を書き出す
③書き出した相違点、過不足の内容について、問題があるかどうか検討する
簡単3ステップのうち、①適切な内容の自社雛形を準備する が一番重要といっても過言では無いです。
まずは、発生頻度が高い契約について、入れるべき項目が漏れなく入っていて、内容についても自社にとって不利ではない(やや自社に有利なくらいでも良いです)契約書雛形を準備します。
この自社雛形の内容を「正」とし、相手雛形の契約書をチェックしていきます。
なお、適切な雛形がお手元に無い場合は、ブライトにご相談頂ければご提供できますので、お気軽にご相談ください。
次に②相手雛形の書面と比較し、相違点、過不足のある内容を書き出す です。
パソコンでも、紙でも構いませんので、自社雛形と相手雛形を比較して、相違点・過不足について書き出していきます。
また、このタイミングで、今回の取引で想定している内容(当事者、取引の対象、期間、代金など)がきちんと記載されているかもチェックします。
ちなみに、契約書の構成として、前半部分に取引毎に変化する内容(取引の対象、代金の額、契約期間、支払い方法等)が書いてあり、後半部分に定型的な内容(債権譲渡の禁止、機密事項、不可抗力の特約、裁判管轄など)が書いてあることが多いです。
とはいえ、自社雛形と相手雛形では、条項の順番や書き方など異なっていることがほとんどだと思いますので、慎重に比較し、書き出していきましょう。
そして、最後が、③書き出した相違点、過不足の内容について、問題があるかどうか検討する です。
具体的にどう検討するかということですが、2つの段階に分けられます。
段階1は、担当者自身による検討です。
チェックの依頼者からの情報や自身の持つ情報・知識等踏まえ、書き出した相違点・過不足等が、取引の内容を正確に表現するという観点で問題ないか、また、自社にとって不利でないかどうかを検討します。この時点で、内容が誤っていたり、明らかに自社に不利な内容があれば、整理した上で、相手に修正を求めます。
段階2では、専門家にコメントを求めます。
担当者自身による検討で判断がつかなかった項目について、弁護士やBRIGHT等の専門家に、第三者の視点から検討してもらい、その相違点や過不足が自社にとってリスクがあるのか、どういう影響があるのかコメントをもらいます。
そのコメントの内容踏まえ、担当者自身、契約書チェックの依頼者、契約書の決裁者等と協議し、修正を相手に求めるか検討し、判断します。
なお、段階1の時点で書き出した項目について全て判断できた場合は段階2はナシとなります。
そうしたステップを経て、相手と何度かやり取りをして、お互いが納得できる契約書を作り、締結することになります。
以上、具体的な契約書チェックのやり方について解説させて頂きました。
いかがだったでしょうか。
業務歴の長い方は、チェックの都度自社雛形を手元に置かなくても、スムーズに契約書チェックを行えると思いますが、まだ業務歴の浅い方は、自社雛形と一つ一つ比較していくというのが最も正確でオススメです!
是非試して頂ければと思います。