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BRIGHT NEWS vol.107 『巨大台風と結婚式』現場から寄せられた質問に答えます!

【この記事は2022年9月20日現在のものです】


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【目次】

TOPICS (1)『巨大台風と結婚式』を巡る法律関係Q&A (2)お客様の「送迎」に関する法的注意点を整理! *************************************************************

TOPICS (1)『巨大台風と結婚式』を巡る法律関係Q&A  3連休にあわせるかのように日本列島を直撃した台風14号で被害にあわれた皆様に、心からお見舞い申し上げます。また、台風14号の影響を受けて対応に追われた全ての婚礼現場の方々に心から敬意を表します。  ここでは、この数日でBRIGHTに寄せられた台風対応関連のご質問を、一般的な内容に加工してQ&A形式でまとめました。現状の対応、そして今後の備えとして参考にしていただけましたら幸いです。

Q.当初予定されていた日に結婚式サービスの提供を行うこと自体は可能だったのですが、台風の直撃の予報を理由に、新郎新婦のご意向により婚礼前日に「延期」の運びとなりました。前日での延期の決定なので、婚礼規約に照らすとかなり高額な日程変更料となりますが、請求することは問題ないでしょうか?

A 原則として、問題ありません 原因はなんであれ新郎新婦のご意向やご都合によって発生した「延期」であれば、婚礼規約に沿って日程変更料を請求できます(なお「解約」の場合の解約料も同じ考えです)。 例外があるとすると、大型台風が直撃した場合などを想定して異なる合意があった場合です。婚礼規約と異なる合意があれば、そちらが優先して適用されます。 Q.(婚礼規約とは別の合意がない前提で)日程変更料を請求したところ、新郎新婦から「台風は不可抗力なのだから私たちに負担が生じるのは納得がいかない」と言われてしまいました。よい回答の仕方はないでしょうか?

A よく「不可抗力だから支払い義務はないはずだ」という主張を耳にしますので、法律上のルールを整理します。 民法第536条に『危険負担』と呼ばれる制度が規定されていて、台風や地震など「不可抗力」によって「サービスの提供ができなくなった時(法律上は「履行不能」という言い方をします)」には、金銭を支払う側(=新郎新婦)はそのサービスの対価を「支払わなくてもよい」とされています。新郎新婦のご主張は、この制度を前提にしている可能性があります。 ただ、『危険負担』のケースに該当するのは単に「不可抗力」な事象ではダメで、それによりサービス自体が「履行不能」であることが必要です。 したがって、たとえば台風で施設が損壊して物理的に結婚式サービスを提供できないような特殊な場合はともかく、「結婚式サービス自体は提供可能」であれば「履行不能ではない」わけですから、『危険負担』のケースには該当しないのです。 以上を踏まえると、「台風の直撃というタイミングは大変残念ではありますが」とした上で「結婚式サービス自体の提供が可能であった以上、あくまでお客様自身のご判断での延期となりますので、婚礼規約に則り日程変更料をご負担いただきます」という回答は、法的に筋が通ったものと言えます。 Q.台風による交通網の乱れ(「計画運休」含む)で参列できなくなった参列者が出ました。新郎新婦から「人数分の料理代は減額してほしい」と依頼を受けました。法的には減額をする義務があるのでしょうか?

A 結論としては、減額をしなければならない義務はありません 私たちブライダル事業者は、契約された日時に、契約された人数の参列者をお出迎えし、契約されたサービスを提供することについては契約上の義務を負っていますが、「参列者が実際に参列するかどうか」まではコントロールできませんし、契約上の責任も負っていません 台風により参列者が減ってしまったことはお気の毒ではありますが、たとえば事故や病気を理由に急遽欠席が出た場合と同じように、会場側がその分を負担しなければならない契約上または法的な義務は認められないと考えます。 なお、当然ながら「サービスとして」代金の一部減額などの配慮をすること自体は何ら問題ありません。 Q.台風による交通網の乱れで帰宅できない参列者が現れることを危惧する新郎新婦から「参列者のホテル代を会場が負担してほしい」と依頼を受けました。法的に対応する義務があるのでしょうか?

A これも先ほどの回答と同じで、会場側は「参列者がいつどのように帰宅するのか」までコントロールできませんし、契約上の責任も負っていませんので、対応する義務はありません もちろん、こちらも「閉館時間まで雨宿りを認める」など「サービスとして」特例措置を講じることは問題ありませんが、強制されるものではありません。 Q.今後また大型台風が直撃するケースを想定してルールを設定しておきたいのですが、よいモデルケースはないでしょうか?

A 昨年BIAが発表した改訂モデル約款においては、新型コロナで緊急事態宣言等が発出された場合のみならず、台風や地震などの自然災害が発生した時も含めた対応ルールについて「非常時の特則」という形で規定しておくことが提唱されています。 今後も不定期に自然災害が発生することは確実ですので、こうしたルール作りをしておくことが何より必要ではないかと考えます。 ★BRIGHTでは2019年11月に「台風と結婚式」と題した動画解説を配信しています。 改めて掲載いたしますので、より詳しくお知りになりたい方はご活用ください。 前編:会場と新郎新婦の関係性  https://youtu.be/unjuwhxyHcY 後編:会場とパートナーの関係性  https://youtu.be/wnEKB6fZck0 (2)お客様の「送迎」に関する法的注意点を整理! 私たちBRIGHTは、ブライダル関係者の方々が知らず知らずに法的なトラブルに巻き込まれないように『オシエテブライト』という無料動画セミナーを不定期に配信しています。 このたび、お客様の「送迎」に関する知られざる法規規制について説明する動画(6分13秒)の配信を開始しましたので、 ★ 新郎新婦や参列者の「送迎」をしているホテル・式場 ★ 屋外での前撮りやフォトウェディングを提供している事業者 の皆様は特にご覧になってみてください。 こちらからどなたでもご覧いただけます↓ https://youtu.be/q5gfaXb67Gc ★「動画を見ている時間がない!」という方向けの概要★ ・特別な許可を得ずにお客様を有償で「送迎」する行為は、原則として道路運送法に違反します。 ・「送迎」そのものに対価を設定していなくても、有償サービスの一部に「送迎」が含まれていれば違法となるリスクがあります。 ・一方で「送迎」をあくまで無償サービスとすれば道路運送法上の問題は生じません。 ・「送迎」が伴うサービスを展開する上では、道路運送法の規制を守ること前提に、サービスの設計とその正確な表示に注意が必要です。

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