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『SNS等でのネガティブ投稿にどこまで対応できるか』


結婚式サービスの内容について口コミサイトやSNS等へネガティブな内容の投稿がなされ、それが拡散したというニュースが時折り大々的に流れ、業界を超えて大きな話題となっています。

ここではあくまで一般論としての解説となりますが、自社または自会場に対するネガティブな投稿がなされた場合の法的な対応について整理します。


【ケース①】投稿の内容が事実である場合

 残念ながら、投稿された後の法的な対応は限られてしまうのが実態です。

 投稿によって会社の名誉が侵害されたり、営業に悪影響が生じたりしても、日本国憲法で「表現の自由」は広く保障されており、また刑法においても、仮に名誉が毀損されたとしても、それが「公共の利害に関する事実」で、「もっぱら公益を図ること」を目的とした投稿であれば罰せられません(刑法第230条の2)。

 こうした法律の姿勢の背景には、『会社は社会の公器である』という考え方があります。これを柔らかく言えば、会社はある種公共的な存在なのだから、ちょっとユーザーから批判されたぐらいは我慢しなさいよ、それよりも国民の「表現の自由」を厚く保障しますよ、という考え方である、とご理解ください。

 以上のような理由から、法的な対応は実態として限られてしまうのです。


【ケース②】投稿に事実でない内容が含まれている場合

 ケース①よりは対応の余地が広がりますが、法的な対応に高いハードルがあることは変わりません。もちろん全くの事実無根であったり、罵詈雑言やデマの拡散であった場合には、投稿者に法的な責任が生じてきますので、程度問題と言えるでしょう。お困りのことがあれば早めに法律の専門家にご相談下さい。


【ケース③】スタッフの実名が含まれている場合

 スタッフの実名まで投稿されてしまう場合、本人はもちろん事業者としてもなんとか早期に削除したいところですが、法的には単に氏名が公表されただけで「プライバシー侵害」等が認められるかというと、なかなか難しいのが実態です(正直なところ、この点は一般の感覚と法律の実態とに乖離を感じます)。

 一方で、住所や写真なども公表される段階となると、行き過ぎた「プライバシー侵害」と判断され、差し止めや慰謝料の支払い等を請求できる余地が広がっていきます。


 このように、投稿されてしまってからの「法的な対応」には限界があるのが実態です。

となると、このような不幸なトラブルを予防したい読者の皆さんとしては、「トラブルが起きない」または「トラブルを大きくしない」ための予防策に注力していかざるを得ないと言えるでしょう。

そして、そのためには、必要な「法律の知識」を少し身につけるだけで大きな効果が見込めます。


(本コラムの監修:BRIGHT 増渕勇一郎弁護士)



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