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Q.会場から外注している写真事務所所属のカメラマンが不幸なことに挙式時の撮影中の事故によって死傷してしまった場合には、「会場」「写真事務所」「カメラマン個人」にどのような責任問題が生じるのか教えてください。

A.大変不幸な事例ではありますが、法的な基本的な考えは以下の通りです。


1.事故の責任が「カメラマン」自身にある場合

 この場合、「カメラマン」自身や遺族の方が死傷したことについての責任を「会場」や「写真事務所」に

 対して求めることはできません。

 一方で、「会場」としては発注通りの撮影が行われなかったことで損害(新郎新婦への返金等)が

 生じた場合には、「カメラマン」自身にも、外注先である「写真事務所」にも、いずれに対しても賠償を

 求めることができます(「写真事務所」が負う責任を『使用者責任』といいます)。

 通常は「写真事務所」のほうが回収しやすいので「会場」は「写真事務所」に請求し、「写真事務所」は

 「会場」に支払った賠償額について「カメラマン」自身に求償を求めることができます。


2.事故の責任が「会場」にある場合

 この場合、「カメラマン」と「写真事務所」は、死傷によって生じた損害について「会場」に対して

 賠償を求めることができます。なお「カメラマン」が死亡した場合には相続人である遺族が損害賠償

 請求の主体となります。

 また、予定通りの撮影が行われなかったことの非も「会場」にあるので、新郎新婦に対しても契約

 違反を理由とした損害賠償責任を負うこととなります。


3.事故の責任が「写真事務所」にある場合

 「写真事務所」が「カメラマン」に貸与していた脚立が壊れていて落下しけがをした場合などが

 これに当たります。

 この場合、「カメラマン」は、死傷によって生じた損害について「写真事務所」に対して賠償を

 求めることができます。なお「カメラマン」が死亡した場合には相続人である遺族が損害賠償

 請求の主体となります。一方で責任のない「会場」に対しては請求できません。

 また、「会場」としては発注通りの撮影が行われなかったことで損害(新郎新婦への返金等)が

 生じた場合には「写真事務所」に対して賠償を求めることができます。 


4.「カメラマン」「事務所」「会場」のそれぞれ複数に過失がある場合

 どっちが何%ずつ悪いのかを決める「過失割合」という考え方があって、発生した損害をその%に

 即して負担する形になります。当然ながらこの%を簡単に決めることはできないので、合意でき

 なければ訴訟に発展せざるを得ず、裁判所で「過失割合」を争っていくことになります。




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