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【新型コロナ】『緊急事態宣言』パートナー向けよくあるQ&A集

【この記事は、2020年4月21日現在の状況です。】

パートナー向けよくあるQ&A集 (パートナーさんの立場からよくいただくご質問をまとめています。)

一、会場との関係

Q1.「緊急事態宣言の期間中にドンピシャにあたってしまった施行」がキャンセル(または日程変更)となってしまい、会場から受注済みの案件のキャンセルの連絡がありました。会場に対して予め取り交わしていた契約書の規定に基づいてキャンセル料(または日程変更料)は請求できるのでしょうか?

A1.原則としては請求可能です。

ただ、緊急事態宣言の期間中の施行ということで、会場が施行を中止しパートナーへの発注を取りやめにすることが「不可抗力」であると言えるような場合には、いくら契約があったとしても「解約に会場側の帰責性がないから」という理由でキャンセル料等の支払い義務が発生しない場合もありえます。

では上記の事例が「不可抗力」といえるのかどうかは、はっきり言って微妙です。

緊急事態宣言自体がわが国初のことで参考になる過去の事例はほぼないのです。

それを承知で敢えて検討してみれば、「各自治体で結婚式場は施設使用停止要請の対象外という運用が広がっている実態」は「不可抗力」とは言えない方に傾く要素ですし、一方で「世の中的に結婚式を開催できる空気でなくほぼ全ての施行がなくなっている実態」は「不可抗力」と言える方に傾く要素だろうと思います。

このように法的には非常に微妙な状態ではありますが、契約書がある以上、損害の実態を会場に伝えて解約料の支払いをお願いすること自体には問題がないと考えます。

(この回答は4/17現在での情報に基づくものです。)

Q2.「緊急事態宣言の対象とはなっていない時期の施行」がキャンセル(または日程変更)となってしまい、会場から受注済みの案件のキャンセルの連絡がありました。会場に対して予め取り交わしていた契約書の規定に基づいて会場に対してキャンセル料(または日程変更料)は請求できるのでしょうか?

A2.法的には請求できると考えます。

Q1と異なり、緊急事態宣言の対象期間ではないわけで、会場による発注キャンセルが上記の「不可抗力」となる可能性は低いと考えるからです。

また、緊急事態宣言の対象期間ではない以上、本来は会場が新郎新婦から解約料の支払いを受けているはずで(もしそれを免除していても、それは会場独自の判断でありパートナーには直接関係しません。)、会場はそれを基に契約に沿ってパートナーへの補償に充てるべきだと考えます。

Q3.緊急事態宣言の期間中ドンピシャにもかかわらず施行すると会場から連絡がありました。スタッフを行かせたくないのですが断れるのでしょうか?また、断った場合に後から損害賠償請求されることはあるのでしょうか?

A3.責任を追及される危険性は否定できません。

前2つの回答とは逆に、「一旦受注したお仕事を一方的にやめることが不可抗力によるものと言えるかどうか」が焦点です。

法律上は、一度契約した以上はそれを守らないといけない義務が発生します。合理的な理由がない限り、それを一方的にやめて相手に損害を与えたら賠償義務を負うのが原則です。

今回の質問は緊急事態宣言の真っただ中ですので「不可抗力」と言える要素も多々あると考えますが、もし結婚式場のエリアが感染の少ないエリアであったり、会場の安全対策が十分といえるものだったり、あるいは他のパートナーは問題なく集まりサービスを提供する予定だったりすると、それは「不可抗力」とは言えないでしょう。

エリアや時期、緊急事態宣言において具体的にどのような要請がなされているかなどによって回答が分かれる難しい質問です。

Q4.緊急事態宣言の期間中ドンピシャにもかかわらず施行を実施すると会場から連絡がありました。スタッフの安全を考えて、自らの判断で普段と異なり電車ではなくタクシーに乗車させたため、いつもよりかなり交通費が発生してしまいました。この費用の超過分は会場に請求できるのでしょうか?なお契約書には特に規定がありません。

A4.もし契約書にこの件の規定があればそちらが優先されます。

そうした規定はないとなると、あなたの業種によって回答が変わります。

もしあなたが司会者、ヘアメイク、着付け等施行日当日に足を運んで直接サービスを提供する業種なら、法律上は会場と「準委任契約」を締結していることになり、こうした追加費用を請求する権利が認められています(民法第656条・650条第1項)。

一方でもしあなたがフォトグラファーやビデオグラファー等何らかの商品(アルバムやDVD)の納品を目的とする業種なら、法律上は会場と「請負契約」を締結していることになり、こうした追加費用を請求できる根拠は規定されていません。

二、直接契約(持ち込み等)の新郎新婦との関係

Q1.フォトグラファーです。新郎新婦から直接受注して、施行日には「持ち込み」として撮影サービスを提供する予定で、事前打ち合わせも済ませ、その他の準備も進めていましたが、「コロナが不安で結婚式が中止になったので解約したい」と連絡がありました。すでに準備していたので規約に沿って解約料を請求したところ「結婚式場は無償だったのに無償にしてくれないのか」と反発されてしまいました。解約料を請求してはいけないのでしょうか。

A1.請求できると考えます。

きちんと解約料について合意を得た上で契約していれば、契約通り解約料を請求できるのが大原則です。その例外は、新郎新婦からの解約が「不可抗力」と呼べる場合のみです。

緊急事態宣言によっても結婚式場の使用停止は要請されていない中、会場は事情を鑑みて自らの判断で無償でのキャンセルを受けたかもしれませんが、あなたはフォトグラファーという立場で結婚式契約とは別の契約を独自に締結していますので、それに流される必要はありません。また、すでに事前打ち合わせというサービスの一部も提供済みですから、解約料免除という結論も不当だと思います。

新郎新婦はお気の毒ではありますが、自らの意思で結婚式を取りやめた面がある以上は直ちに「不可抗力」とは言えないため、法的には解約料の請求は可能だと考えます。もちろん、その上でお客様のご事情を鑑み、一部減額などの特別対応をすることは問題ありません。

(この回答は4/17現在での情報に基づくものです。)

Q2.貸衣装店です。タキシードのレンタル契約をしていたお客様から、引き渡しの直前になって「着ていくつもりだった結婚式がコロナで中止になったから解約したい」と言われてしまいました。当店では事前にレンタルの目的は特に聞いていません。規約に沿って解約料の支払いをお願いしたところ「不可抗力だから無償が当然じゃないか」と反発されてしまいました。解約料を請求してはいけないのでしょうか。

A2.A1以上に請求できる事例だと考えます。

タキシードのレンタル契約自体は「結婚式に着用していく」という目的の達成は条件になっていませんし、貴社としては「レンタルタキシードを決められた日に引き渡す」という契約上のサービスを提供することはなお可能ですから、「解約は不可抗力だ」というお客様のご主張は通らないと考えます。

法的には規約に沿っての請求が可能です。もちろん、その上でお客様のご事情を鑑み、一部減額などの特別対応をすることは問題ありません。

Q3.ドレスショップです。新郎新婦から直接受注していた案件がコロナ不安で解約となってしまいました。解約料を請求したところ支払い自体には理解してもらえたが「そもそも解約料の根拠がよく分からないので説明してほしい。納得したら支払う」と言われてしまいました。当社は衣裳店で、会場のように時系列に沿って当日に近づけば近づくほど解約料が高くなる設定にしていますが、根拠というほどのものはありません。どう説明したらよいでしょうか?

A3.契約している以上、基本的には解約料の支払いを請求して構いません。今になって「説明に納得できなければ払わない」というのは、法的には通りづらい主張です。

とはいえ、お客様に説得力のあるキャンセル料を設定しておくことは事業者として大切な姿勢だと考えます。

この点、BRIGHTではドレスショップをはじめたパートナーの方々には『やったとこまで理論』という独自の考え方に基づく「会場とは異なるキャンセル料基準」の設定をご提案しています。

   *「やったとこまで理論」の解説*

     概要は以下の通りです。

     通常、会場は「時系列」、つまり   

   ●カ月前~●カ月前の解約  見積もりの●%

   ●カ月前~●カ月前の解約  見積もりの●%

   ●カ月前~●カ月前の解約  見積もりの●%

と、時の流れを前提に、施行日に近づけば近づくほど金額が上がる仕組みにしています。これは「大体これぐらい前に解約されると施行日が再販できないリスクがこれだけある」という『機会損失の補填=キャンセル料』という考え方に基づくもので、業界団体であるBIAが10数年前から提唱し、過去の裁判でも認められた考え方です。

ただ、ドレスショップの場合は会場ほどこうした「時系列」が明確ではなく、「すごく前からドレス選びする新婦」もいらっしゃれば、「直前で駆け込んでこられる新婦」もいらっしゃいます。会場のように、「時系列」で説得力のあるキャンセル料を作るのが困難なのです。

そこで「やったとこまで理論」の登場です。

これは「時系列」ではなく、「どこまでサービスを提供したか」によってキャンセル料を設定するというやり方です。

たとえば、通常のドレスレンタルの流れとして

 ①成約

 ②小物合わせ 

 ③サイズ調整 

 ④納品 

という主要な4工程があったとして、それぞれに貴社がかける負担のパーセント(費やす時間等で算出することが考えられます)を算出した上で

 ①成約~②小物合わせまでの解約    商品代金(税込)の●%

 ②小物合わせ~③サイズ調整までの解約         同●%

 ③サイズ調整~④納品日までの解約           同●%

 ④納品日以降の解約                 同100%

というように、「どこまでサービスを提供したか」という考え方に基づく設定をドレスショップの皆様にはご提案しています。

この考え方だと「1年前からドレス選びをしている方で、早く成約して早い段階で小物合わせまでしたのに解約」という方でも、きちんとやったとこまでのキャンセル料を請求できますし、「1週間前の駆け込みの方で深夜に成約したけど何もしないまま翌朝に解約」という方には、直前であっても低額のキャンセル料しか発生しないことになるというように、実態に合わせて調整ができます。

これを機にキャンセル料の設定から検討したいという方は、お気軽にお問い合わせください。

三、外注先パートナーとの関係

Q1.司会事務所です。コロナの影響で会場から受注していた施行が次々に飛んでしまい、手配していた登録司会者への発注もどんどん取り消しています。そんな中ある登録司会者から「1度発注した案件を一方的に取り消して補償もないのは、下請法違反ではないのか?」と言われました。下請法自体がよく分からないのですが、何か法律に抵触するのでしょうか?

A1.下請法が適用される取引かどうかによって結論が分かれます。

下請法とは、強い立場にある発注者(ブライダル業界においては主に「会場」)が弱い立場にある下請事業者(同「パートナー」)に対して、立場を悪用して無理難題を押し付けるような複数の事柄を禁止している法律です(なお、司会事務所の立場は会場との関係では「下請事業者として守られる立場」、外注先の登録司会者との関係では「発注者として規制される立場」の両面を併せ持っていて、今は後者の立場の問題です)。

下請法が規定する禁止事項の中には「1度発注した業務を後から変更したり取りやめたりする場合には適切な補償をしなければならない」という規定があり、登録司会者はこのことを指して指摘していると思われます。

ただ、下請法は全ての取引に適用されるのではなく、下請事業者が個人事業主の場合には、「発注者の資本金が1千万円超」である場合に限られます。したがって貴社の資本金がそれを下回っていれば下請法自体は適用されません。

したがって登録司会者の指摘が正しいかどうかは、貴社の資本金額次第ということになります。

とはいえ、登録司会者にとっても死活問題なので、現実的にはなんとか会場も含めて、最低限の補償がなされるよう協議の場を作っていくということが解決策の一つではないでしょうか。

Q2.ヘアメイク事務所です。外注していたフリーのヘアメイクさんが「新型コロナが怖いのでやりたくない」と発注済みの案件を断ってきました。人的な余力がないので「それは困る。契約通り行ってくれ」とお願いしたら「こんな状況で行かせるなんておかしい!」と反論されてしまいました。こういう場合はサービスの提供をお願いできないのでしょうか?またこれによって損害が出たら賠償請求できるのでしょうか?

A2.約束通りサービスの提供を求められますし、損害が出れば賠償請求も可能です。

大原則として、契約をしている以上は約束していたサービスは提供しなければいけません。もしそれができず相手に損害を与えたら、賠償義務を負うことになります。その例外は、サービスを提供できない理由が「不可抗力」、つまり自らに一切の責任がない場合だけです。

ご質問の事例がどのような状況かにもよりますが、よっぽど仕事に行かせることが非常識な状況でなく、また他のパートナーは普通通り集まるような環境があれば、一方的にサービスの提供を断ることは契約違反であり、それにより貴社に損害が発生すれば賠償請求が可能です。

以上

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