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BRIGHT NEWS vol.161 【ついに4/1施行】「東京都カスハラ防止条例」を正しく知ろう<前編>

TOPICS

(1)「東京都カスハラ防止条例」を正しく知ろう<前編>



「東京都カスハラ防止条例」は令和7年(2025年)4月1日より施行されます。

ブライダル事業にもとても大きな影響が及ぶ内容となっており、以下の通り、条例の本文と条例に付随して東京都から発表されたマニュアルをもとに、この条例の内容を解説していきます。

※「東京都カスハラ防止条例」やそれに関連する「ガイドライン」については、

 『東京都TOKYOはたらくネット』(下記URL)よりご確認いただけます。



1.この条例が制定される目的とは?


どのような理由で「カスハラ防止条例」を制定するのかについて、この条例は以下のような言葉から説明を始めています(注:以下、条例の内容を紹介する際に読みやすさを重視して一部意訳しています。)。


『東京都は日本経済の牽引役であり、その基盤は「働く人」の力である。』


つまり日本経済の基盤となっているのは「働く人」の力だ、とまず明確に定めているわけですね。そして、その「働く人」を大事にすることの必要性を説く文章が続きます。


『今後も持続的に経済発展していくためには「働く人」の力が充分に発揮され、事業者が安定した事業活動を行い、誰もが豊かな消費生活を営むことのできる環境の創出が必要である。』


全くその通りだと私も思います。

そして、今回のテーマであるカスハラがいかに「働く人」の就業に悪影響を及ぼすかを説明した上で、この条例を制定する目的をこう説明しています。


『だからこそ、「働く人」の安全や健康を害するおそれのあるカスハラは社会全体で対応しなければならない。つまり、条例制定の目的は、カスハラから「働く人」の安全や環境と事業者の安定した事業活動を守り「公正かつ持続可能な社会の実現」に寄与することにある。』


このように「東京都カスハラ防止条例」は、その冒頭で理念を高らかに掲げています。



2.誰が対象となるのか?


では、この「東京都カスハラ防止条例」は誰を対象としているのでしょうか?

この条例では、主にこの条例で守られる立場として「事業者」「就業者」、そして主にこの条例でカスハラの加害者になりうる者として規制される立場にある「顧客等」の3つの立場が想定されています。

そしてその3つの立場について、以下のように定義されています。


まず、「事業者」については「都内で事業を行う法人や個人事業主」とされています。

【ブライダル業界における具体例】

・ 都内に本店を置く企業や主に都内で活動するフリーランス

・ 都外に本店を置きつつ都内に支社や事業所をもつ企業

・ 都外に拠点を置きつつ都内で事業展開をする企業やフリーランス

必ずしも本店が東京にある事業者だけが対象でない点に注意が必要です。


次に、同じくこの条例で主に守られる立場にある「就業者」については、「都内で仕事をするスタッフ」に加え「上記事業者の業務に従事するスタッフ」も含まれるとされています。

【ブライダル業界における具体例】

・ 都内に本店を置く企業の仕事を都外からテレワークの形態で行う従業員

・ 都外のコールセンターにて都内の事業者からの問い合わせに対応するスタッフ

こちらも、必ずしも都内で仕事をしているスタッフだけではない点に注意してください。


そして最後に、カスハラの加害者になり得る立場として定義される「顧客等」については、「(事業者等と契約をする)一般顧客」のみならず「一般顧客の関係者」、そして企業間取引における「担当者」も含まれるとされています。

【ブライダル業界における具体例】

・ 新郎新婦

・ 新郎新婦の家族や親族、参列者

・ 取引先の担当者

ここでのポイントは、ブライダル事業者と直接契約を締結していない「ご両親様」や「参列者様」からのカスハラ行為もこの条例の対象になるし、BtoB(事業者間)取引における「担当者」によるカスハラ行為も対象も対象となり得る、という点です。



3.顧客側はどんな義務を負うのか?


この条例は第4条で

「何人も、あらゆる場において、カスタマー・ハラスメントを行ってはならない。」

と明確に規定しています。


この点、もう少し詳しく掘り下げていきましょう。


まず、「何人も」については「カスハラの主体となりうる全ての人」を指し、都民以外も含まれるとされています。また、繰り返しとなりますが、BtoC取引のみならずBtoB(事業者間)取引も対象となりますので、たとえば、パートナー事業者に対してホテル・式場の担当者が問題行為を行った場合にも、この条例が適用され得るということです。


次に、「あらゆる場において」については、店舗や事務所に限らず、電話やインターネット等も対象となるとされています。したがって、たとえばクレーム顧客からLINEやメールによって過剰な要求や誹謗中傷がなされた場合でも、この条例の対象となります。

 

いかがでしょうか?

こうして条例を正しく理解していくことは、現場スタッフをカスハラによる負担から解放するための「第一歩」となるはずですので、ややこしい面もあろうかと思いますがもう少しお付き合いくださいね。


では「BRIGHT NEWS vol.161」での【前編】の解説はここまでとし、次号【後編】では「カスハラの判断基準とは?」「事業者が負う義務とは?」「事業者はどう備えるべきか?」について解説します。


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