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BRIGHT NEWS vol.164 【超重要】「改正下請法」成立によりブライダル業界にどのような影響が生じるのか

更新日:5月27日

TOPICS

(1)『下請法』改正がブライダル業界にもたらす大きな変化とは


去る5月16日に「改正下請法」が成立し、2026年1月1日より施行されることになりました。

改正の背景、要点、そしてブライダル事業者が対策すべき内容についてまとめていきます。


★公正取引委員会のWEBページ対象画面



1.改正の背景

公正取引委員会は改正概要を説明する資料の中で、「下請法」を改正する背景を下記の通り記載しています(一部意訳)。


★近年の急激な労務費や原材料費等の上昇を受け、「物価上昇を上回る賃上げ」を実現するためには、事業者において賃上げの原資の確保が必要であること。


★中小事業者が各々賃上げの原資を確保するためには、事業者間で適切な価格転嫁を定着させる「構造的な価格転嫁」の実現を図っていくことが重要であること。


★そのため(立場の弱い)下請事業者に負担を押しつける商慣習を一掃していくことで、取引を適正化し、価格転嫁をさらに進めていく必要があること。


つまり、私たちの業界でいう「パートナー事業者」(以下「パートナー」)が賃上げするための原資を確保することを目的に、それを阻害する商慣習を解消するために改正をした、ということです。



2.改正の要点

このたびの主な改正点は下記の通りです。


(1)協議を適切に行わない代金額の決定の禁止

(2)手形払等の禁止

(3)運送委託の対象取引への追加

(4)従業員基準の追加

(5)面的執行の強化

(6)用語の見直し


このうち、ブライダル業界への影響が大きいと推測される(1)(4)(6)について、その詳細を解説します。


(1)協議を適切に行わない代金額の決定の禁止(第5条第2項第4号)


「下代」の金額決定の場面において、パートナーが提供する商品やサービスに関する原材料等のコストが変動した場合において、「ホテル・式場等の会場事業者」(以下「会場」)が、

1) パートナーから求められた「下代」の額についての協議に応じない

2) 協議に応じても必要な説明をせず一方的に「下代」の額を決定する

ことによってパートナーの利益を不当に害することが禁止されました。


これはたとえば以下のような場面が対象となる可能性があります。

★装花事業者が、装花商品を制作するために仕入れる花材の仕入価格が高騰したため、発注元であるホテルに対して「下代について協議させてほしい」と頼んだのに、ホテル側から協議を拒否された。

★撮影事業者が、長年にわたる取引で一度も下代が変更していない式場との協議において、最低賃金や外注費の高騰を理由に具体的な根拠と金額を提示して「下代を上げて欲しい」と依頼したのに、式場側はなんら具体的な理由を示すことなく「据え置き」を決定した。


つまり、会場としては、パートナー側から「下代」について協議の申し出があった際には応じなければいけないし、仮にパートナーの希望には応じないにしても充分な説明をするよう努める姿勢が必要になります。


(4)従業員基準の追加


もともと「下請法」は「『規模の大きな』発注元が『規模の小さな』下請事業者をいじめること」を防ぐことを想定して作られているため、同法が適用されるためには、

発注元  資本金1千万円超

下請け  資本金1千万円以下(個人事業主は「0円」換算で該当)

等の資本金条件を満たしていることが必要でした。

※上記はブライダル業界において最も一般的な条件を示しているもので、規模や取引の種類によって他の基準もあります。


しかしこれだと「下請法で規制されたくないから」と減資したり、増資を控えたりして「下請法逃れ」を図る事業者が出てくるという問題意識から、「改正下請法」では、上記の資本金条件に加えて

発注元  従業員100名超

下請け  従業員100名以下(個人事業主は該当)

という従業員基準も追加され、「改正下請法」の適用対象が拡大されました

※上記はブライダル業界において最も一般的な「役務提供委託」に該当する取引の場合の条件を示しているもので、取引の種類によって他の基準もあります。


これにより、これまで「下請法」の適用対象外だった会場も、「改正下請法」により規制される立場になる可能性が生じます。


(6)用語の見直し


そもそも「下請け」という用語が取引当事者間の上下関係をイメージさせてしまうのではないか、との指摘を受けて、同法の正式名称からも「下請」という文字は消え、

『下請代金支払遅延等防止法』(下請法)

から

『製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律』(中小受託取引適正化法)

へと名称が変更され、またこれまでの「下請事業者」という用語も「中小受託事業者」に変更されました。



3.ブライダル事業者が対策すべき内容

「改正下請法」は2026年1月1日から施行されます。

ただ、昨年の11月1日に施行された「フリーランス保護法」の影響もあって、この1年ほどは当局より「下請けいじめ」に対する取り締まりが強化されてきていますので、対策はすぐにでも講じた方がよいと考えます。


「下請法」が適用される取引においては契約書等の書面の作成及び保存が義務付けられている他、「支払い期限」等についてもルールが課せられていますが、残念ながら、ブライダル業界ではこれらが遵守されているとは言い難い現状があります。


BRIGHTでは、ブライダル事業者に向けてこれら関係法令についての情報や具体的な対策例を下記のURLにまとめておりますので、是非この機会に「当社は関係法令に対応できているのだろうか?」という視点でご確認されることをお勧めいたします



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