BRIGHT NEWS vol.167 【緊急】『津波警報』が発生した場合の結婚式の法的対応とは
- bright-law
- 7月30日
- 読了時間: 5分
今朝ロシアのカムチャツカ半島沖で発生した巨大地震の影響で、太平洋岸側を中心に『津波警報』等が発令され、一部地域に対しては避難指示が出されています。日本で大地震が発生した際の法律関係については過去に「BRIGHT NEWS」で解説していましたが、結婚式の直前や最中に【津波警報】が発令された場合の法律関係」について急ぎQ&A形式でまとめてみましたので、是非ともご確認下さい。
この津波が大事につながらないことを祈ってます。。。
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(1)『津波警報が出された場合の結婚式を巡る法律関係』Q&A
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(1) 『津波警報が出された場合の結婚式を巡る法律関係』Q&A
発生源であるロシアの人々も含め、この地震そして津波により被害を受けている方々にお見舞いを申し上げます。
「婚礼施設のエリアを対象に『津波警報』が発令されたら結婚式はどうなるの?」
「結婚式の最中に『避難指示』が発令されたらどうするの?」
法律的な考え方をQ&A形式でまとめました。是非ご参考になさってください。
Q1.結婚式の直前に施設周辺のエリアに「津波警報」が発令され、自治体から「避難指示」が出されました。当施設は海沿いの立地なのでもし津波が来たらお客様やスタッフの安全を確保できないと判断し、新郎新婦に「延期」を打診したのですが、新郎新婦は「予定通りやりたい」と譲りません。施設側から一方的に中止・延期を決めることはできるのでしょうか?
A1.原則として、事業者は契約通りのサービスを提供する義務を負っていますので、新郎新婦の同意を得ないでその提供を中止した場合には契約違反(債務不履行)の責任を負うことになります。
ただ、その判断が「やむを得ない事情によるもの」であれば、法律上免責される余地が生じます。
具体的な判断は個別の事情を踏まえてなされるものではありますが、施設の運営者には管理者として、または使用者としての安全配慮義務があることから、自治体から「避難指示」が出され、津波により新郎新婦、ゲストそしてスタッフが被害を受ける一定以上の危険性が認められる場合であれば、中止・延期の判断には、それらのリスクを回避するべき「やむを得ない事情」が認められることになりえます。
Q2.結婚式の開催日を前に一部地域に「津波警報」が発令されましたが、幸いにして施設周辺のエリアは対象外で開催に支障はないので、会場としては予定通り開催するつもりです。その方針自体は差支えありませんか?
A2.差支えありません。
一部地域に「津波警報」が発令されようと結婚式サービスの提供自体が可能なのであれば、原則としてそのまま開催という判断で差支えありませんし、逆に、新郎新婦の意向に反して会場側の独断で中止してしまうと契約違反の責任を問われかねません。
ただ、新郎新婦や参列者等の安全確保に向けたアナウンス(来場される際の交通機関の乱れ等についての注意喚起)等はしておかないと、後から事業者としての注意義務違反を問われる場合がありえますので注意が必要です。
Q3.Q2の事例において、新郎新婦が「津波警報」や「避難指示」等による社会不安を理由に前日になって「延期したい」と要望してきました。この場合でも日程変更料を請求することは問題ないでしょうか?
A3.法律上は問題ありません。
原因はなんであれ、結婚式サービスの提供が可能な中で、新郎新婦のご意向やご都合によって発生した「延期」であれば、原則として婚礼規約に沿って日程変更料を請求できます(なお「解約」の場合の解約料も同じ考えです)。
あとは事情を踏まえてお客様向けサービスとしてどう判断するか、という問題です。
Q4.施設自体は山間部にあるため津波とは関係がないのですが、沿岸部に出された「津波警報」の影響により、新幹線が運休してしまい参列できなくなった参列者が一部出ていまいました。新郎新婦から「人数分の料理代を減額してほしい」と依頼を受けました。法的には減額をする義務があるのでしょうか?
A4.減額をしなければならない法的な義務はありません。
私たちブライダル事業者は、契約された日時に、契約された人数の参列者をお出迎えし、契約されたサービスを提供することについては契約上の義務を負っていますが、「参列者が実際に参列するかどうか」まではコントロールできませんし、契約上の責任も負っていませんので、お気の毒ではありますが、会場側がその分を負担しなければならない契約上または法的な義務は認められないと考えます。
なお、当然ながら「サービスとして」代金の一部減額などの配慮をすること自体は何ら問題ありません。
Q5.「津波警報」の発生による交通網の乱れで帰宅できない参列者が現れたため、新郎新婦から「参列者のホテル代を会場が負担してほしい」と依頼を受けました。法的に対応する義務があるのでしょうか?
A5.対応しなければならない法的な義務はありません。
これもA4.の回答と同じで、会場側は「参列者がいつどのように帰宅するのか」までコントロールできませんし、契約上の責任も負っていませんので対応しなければならない義務はありません。
もちろん、こちらも会場が「サービスとして」特例措置を講じることは問題ありませんが、新郎新婦や参列者から強制される性質のものではありません。
Q6.海外で日本人カップル向けの婚礼サービスを提供していますが、現地の法律がよく分からないので、津波等の自然災害によりサービス提供ができなくなった場合にも「日本法」を適用したいのですが可能でしょうか?
A6.契約において「準拠法」を定めておくと安心です。
サービス規約の中で「準拠法は日本法」と定め、合意を得ておけば、サービスの履行地が海外であっても日本法が適用されます。
(Q&A監修:BRIGHT増渕勇一郎弁護士)
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