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常時ご質問の多い「参列者からクロークで荷物を預かる場合の法律上の規定」についてQ&A形式で解説!

Q1. 多くの会場では、クロークで参列者の荷物を預かるサービスを提供していますが、「預けていたカバンの中のノートパソコンが壊れていた」というご指摘を受けるなどのトラブルも少なくありません。そもそもクロークで荷物を預かる場合、法律上はどんな責任を負うのでしょうか?


A1.民法では一般的に荷物等を「無償で」預かった場合には、「自分のものを管理するのと同一程度の注意義務で足りる」とされています(民法659条)。しかし、結婚式場などの施設事業者が預かる場合には、商法において「善良な管理者の注意をもって」保管しなければならない義務が課せられます(商法595条)。これ、言葉が難しいのですが、簡単に言えば「プロである以上ちゃんと保管しなさいよ」と一般のルールより重い責任を負わされているわけです。


Q2.だとすると、万が一「預かっていたカバンの中にあったノートパソコンが壊れた」という場合、会場側はどのような責任を負うのでしょうか?


A2.実は、商法は「不可抗力によるものであったことを証明しなければ、損害賠償の責任を免れることができない」という規定を設けています(商法596条1項)。これは「会場の責任ではなく防ぎようがない原因によるものだった」と証明できなければ弁償しなさい、という厳しい規定です。


Q3.それは厳しいですね。では、参列者から「壊れた」という指摘があれば、会場は常に弁償しなければならないということでしょうか?


A3.そこが誤解のないようにしたい点です。商法が規定しているのは「クロークで預かっている最中に故障した場合の責任」です。当然のことながら、クロークに預ける「前」や「後」に壊れた場面には適用されません。


Q4.でも、いつ壊れたかなんてはっきりしないことが多いですよね?


A4.その通りです。確かに商法は会場側に厳しい責任を負わせていますが、この責任を負うのは「クローク内で壊れた」とはっきり言える場合に限られるのです。会場として「クローク内で壊れたとは考えられない」という認識なら、それは堂々と主張していただいてよいですし、法律の基本的な考え方に沿えば、「クローク内で壊れた」「だから会場は商法上の責任を負うのだ」と立証する責任は参列者側が負うことになります。


Q5.なるほど!それは会場としては安心ですね。


A5.もうひとつ付け加えておけば、クロークのスタッフが「貴重品はありますか?」と質問したのに対して「ありません」と回答、または何も回答がなかった場合には、もし荷物の中に現金や高価品が入っていて、それが紛失または壊れたとしても会場側は責任を負わないという規定もあります(商法597条)ので、ご参考になさってくださいね。




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