Q.コロナ禍による酒類提供制限がある地域の式場です。当会場では酒類の提供をしておりません。結婚式が終わり、お客様から連絡があり、周辺の会場では酒類を提供していることがわかったとのことで、「他の式場では酒類を出している。私たちの結婚式では出せなかった、どうなっているのか?損害賠償を請求したいと考えている」という主旨のご連絡がありました。どのように対応すべきでしょうか?
損害賠償義務を負うのは、一般的に自らに帰責性が認められる場合に限られます。帰責性とは、故意や過失などのことを指し、簡単に言えば「落ち度があった」ということです。
法令に基づく正式な要請により酒類提供の停止が要請され、それに従ったということであれば基本的に「落ち度」はありませんので、賠償責任を負うことはまず考えられません。
お客様には「他社様のご判断に何か物申す立場にはありませんが、当社は法令遵守の観点から、知事の要請に従い酒類提供を控えさせていただきました」とご説明すれば足りると考えます。
一方で、要請の内容が「条件付きで酒類提供の道を残したものであった」にも関わらず(まん延防止等重点措置の場合などに先例があります。)、それを正しくお客様に説明しないままで酒類提供を停止した場合には、少し話が変わってきます。もともとの契約では酒類提供が前提になっているわけで、それを一方的にやめるには合理な理由が必要です。「お酒を提供する方法があったのに、それを顧客に説明もせず勝手に会場が全面停止した」という話だと、会場側の契約違反という話になりかねないので、知事から出された要請の内容を慎重に検討する必要があるように思います。
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