お客様の意思で解約をする場合には規約に沿った解約料を、
お客様が支払う義務を負います。これが大前提です。
例外としては「不可抗力による履行不能」といえるような状態です。
つまり「いずれの責任でもなく、結婚式サービスをしようにもどうにもできない状態」で
あれば、民法536条の「危険負担」が適用され、契約は(解約ではなく)終了となります。
そうなると、会場側は預かっていた申込金等一切の金銭を返金しなくてはならず、
また解約ではないため解約料の請求もできません。
一方で会場側の責任で終了するわけではありませんので、お客様は結婚式に向けて準備していたウェルカムボードの制作費だとか交通費や宿泊費を会場に対して請求することもできません。
ただ、この民法の規定が適用されるのは「不可抗力による履行不能」と言える状態であることが前提であり、例えば緊急事態宣言下である東京都の現状においても、結婚式場に対する使用停止要請や結婚式そのものに対する自粛要請は一切出ておりませんし、実際に施行がなされている以上、現状が「不可抗力による履行不能」でないことは明らかです。
したがって、結婚式の予定日に向けてさらにコロナが深刻化して、行政からこのような要請が出された場合になってはじめて、民法536条が適用されることになります。
そうした背景がない中での「コロナ不安の解約」は、お客様都合による解約であるため
解約料の支払い義務は免れない、という考え方になります。
(一部の消費者団体などは今ですら民法536条が適用されるなど主張していますが、
そんな主張が認められた裁判例などは現時点では一切ありませんので、気にしなくて良いと考えます。)
次に、お客様との間で婚礼規約とは別に、コロナ禍や自然災害など非常事態が起こった場合の特則として「非常時の特則」を別途取り交わしていた場合には、その内容が適用されることとなります。
民法536条は任意規定といって「特別な合意があれば法律より合意が優先される」という
性質をもっているため、お客様との間でコロナ禍に関する合意があればそちらが適用されるのです。
「非常時の特則」を予め新郎新婦と合意をしておくことはお客様への安心感、そしてその都度ご説明やご案内をするスタッフの労力の軽減、会場側を守ることにもつながりますので
「非常時の特則」をご準備され、事前にお客様と取り交わしておくことは有効であると考えます。
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