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【オンラインでの営業・契約】が特商法に抵触する危険性あり! を解説します。

【この記事は2023年7月3日現在のものです】


コロナ禍を経てオンラインを用いた営業や契約のスタイルが珍しくなくなりました。

しかし、ある「法律」に抵触するのではないか?という問題が生じています。

その法律とは「特定商取引法(略して特商法)」です。

特商法とは、訪問販売やマルチ商法など一般消費者が望まない契約をしかねない一部の取引を限定して、消費者を守ることを目的に、事業者に表示義務等を課す一方で消費者にクーリングオフの権利等を設定する法律です。

私たちブライダル業界にとっては

「新郎新婦が実際に結婚式場を見学してから契約する」

「ドレスショップで実際に試着してから契約する」

という従来の営業スタイルであれば全く関係のない法律なのですが、

上記の「オンラインを用いた営業・契約スタイル」が特商法で規定する『電話勧誘販売』または『通信販売』に該当してしまうリスクがあるのではないかという懸念が指摘され始めています。

(本記事では『電話勧誘販売』のみを取り上げ『通信販売』については別の機会にご紹介します。)

『電話勧誘販売』は、事業者が消費者に電話をかけて商品やサービスの契約を勧誘するスタイルの営業を指すところ、経産省が「zoom等のオンラインも電話に含まれるものとして解釈する」という方針を示していることで、式場やドレスショップへの訪問を伴わないオンラインスタイルが『電話勧誘販売』に該当するのではないか?という指摘が増えてきたのです。

★特商法及び『電話勧誘販売』の詳細はこちらの解説をご確認ください。

もし『電話勧誘販売』に該当してしまうと、契約後に事業者が法定の書面を交付してから8日間以内(書面を交付していなければ「無期限」)はいつでも顧客によりクーリングオフ(キャンセル料を支払う必要のないキャンセル)が出来てしまうことになり、事業者としては大打撃です。

★消費者庁のWEBサイトが紹介する「クーリングオフ」の解説はこちらです。

このたび「そんな馬鹿な!」とBRIGHTより同法の解釈についての相談窓口である経済産業省関東経済産業局(注:地域ごとに管轄の経済産業局が窓口になります。)にヒアリングを敢行しましたので、その情報を顧問先の皆様に共有します。

結論としては、オンラインスタイルの営業は『電話勧誘販売』に該当する可能性が否定できず、ブライダル事業者(特に事前対面の伴わない前撮りやフォトウェディング等において)は注意が必要です。


ただ、特商法施行令第2条第1号には『電話勧誘販売』に該当するための要件として「契約の締結に向けた勧誘をするための商談であることを告げずにオンラインでの商談を要請すること」(意訳)が挙げられています。

つまり「事業者から新郎新婦に『営業する予定であること』を知らせずにオンライン商談を設定した場合」に限り、オンラインスタイルの営業が『電話勧誘販売』に該当するということです。

逆を言えば、オンライン商談のために設定されたzoomのURL等を提示する際に「このオンライン商談の流れの中で条件さえ合えば契約手続きに入りますよ」「少なくとも契約も視野に入れた営業を行いますよ」という案内をした上でのオンラインスタイルの営業であれば『電話勧誘販売』に該当することはないわけです。

※この条文の文意から自然に解釈すれば、zoomのURLをお伝えする際に「お客様にご関心がおありになれば、施設のご案内後にスタッフよりご契約内容及びご契約方法等ご契約の締結に向けたご説明もいたします。」等の一文を添えれば、上記の理由から『電話勧誘販売』には該当しないという解釈になりそうです。もしこうした対応を取られる場合には各社の実態を踏まえた文章を作成し、直接経済産業局にお問い合わせされるか、BRIGHTまでご相談ください。

本来『電話勧誘販売』の規制は、頼んでもいないのにいきなり電話で(しつこく)勧誘を受けて思わず購入してしまったというような場面で一般消費者を助けるための規制のはずが、ブライダル業界における(事業者としては本当は来訪して欲しいところ)「新郎新婦のリクエストを受けてオンライン商談に切り替えたという場面」まで、ただオンラインを用いた商談であるというだけで規制対象となりかねないことに、BRIGHTとしては違和感を抱いています。


それでも経済産業局の窓口に電話してみれば上記の回答ですし、実際にもすでに一部の新郎新婦が解約料を支払わない口実として「私はオンラインでの接客のみで契約した。」「クーリングオフの通知も受けていないので今でもクーリングオフはできるはずだ!」などと特商法を持ち出して交渉してくる、という事象がいくつか耳に入ってき始めました。

この記事をお読みの皆様の内心にも「もやもや」はあるかと推察しますが、とはいえ無視できない状況になっています。

顧客と対面することなくオンラインのみでの営業・契約行為をしている事業者の方は、特商法上の『電話勧誘販売』に該当しないという理論武装をして備えるようにしてください。「うちの対応は大丈夫?」と不安な方は是非お早めにBRIGHTまでお問い合わせください。




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