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BRIGHT NEWS vol.103 グローバルダイニング社訴訟「都の命令は違法」判決は業界に影響を与えるのか?

【この記事は2022年5月20日現在のものです】


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【目次】 TOPICS

(1)「都の命令は違法」グローバルダイニング訴訟の業界に与える影響とは? (2)ブライダル産業フェアで会いましょう!*************************************************************


TOPICS (1)「都の命令は違法」グローバルダイニング訴訟の業界に与える影響とは?  昨年東京都が、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づき営業時間短縮の「要請」を発出するも、これに従わず営業を継続した飲食店があったため、その一部の店舗に対してこれに従うよう「命令」を発したことについて、その対象となった店舗を経営する飲食チェーンのグローバルダイニング社(GD)が、「違法な命令により損害を受けた」として賠償を求めていた注目の訴訟で、東京地裁は16日、「都の命令は違法」等とした判決を出しました。  特措法に基づく自治体からの要請や命令については、ブライダル業界も飲食業界と並んで影響を受けた業界であることから、この判決を少し掘り下げて解説していきます。 ______________________________________________________________


 なお、やや難しい内容なので、BRIGHT内でスタッフが私夏目に質問する場面を想定したQ&A形式でまとめてみました。(Q:BRIGHTスタッフが質問 A:夏目が回答)

1.どのような判決だったのか? Q 今回の裁判で東京地裁はどのような判決を下したのでしょうか? A 実際には様々な争点があったのだけれど、ブライダル業界に特に影響がある部分を簡単にまとめると、以下の2点に集約できると思います。 (1) 東京都がGDに対して出した「営業時間短縮命令」は違法であった。 (2) ただ命令を出したことに都知事の過失があるとは認められないので、GDからの損害賠償請求は認めない Q 「命令は違法」と認めているのに「賠償請求は認めない」っていうのが、なんだかよくわからないです。 A 確かにそのあたりは難しいですよね。順番に見ていきましょう。 2.「命令は違法」という判断について Q 東京地裁が「命令は違法」と認めた理由はどこにあるのですか? A 特措法第45条第3項には、都道府県知事が事業者に「命令」するためには、 (1) 事業者が正当な理由がないのに要請に応じないこと (2) 特に必要があると認められること の2つを満たすことが必要だと書かれています。 これを踏まえて東京地裁は、GDが要請に応じない事実(上記(1))があったとしても、 ・ GDの店舗では感染予防対策が講じられていたこと ・ GDの他にも要請に応じない店舗が多数あったこと ・ 命令を出した21年3月18日時点で「同月21日での宣言解除」が決まっていて、営業時間短縮の期間は4日間のみであったこと 等を踏まえると、(2)の「特に必要がある」とは言えないので、GDに対する命令は違法であった、と判断しました。 Q なるほど。飲食店等が特措法に基づく要請に応じていないからと言って、明確な必要性がないのに命令まではしてはいけないってことですね。 A その通りです。この判断の前提には、日本国憲法で認められた「営業の自由」という考え方があって、本来、国や地方自治体などの行政機関は、正当な理由がないのに飲食店等に対して「営業をやめろ」「営業時間を短縮しろ」などと命じることはできないのです。 特措法は、いわば例外的に、感染拡大予防という目的の中で「要請に応じない」かつ「特に必要がある」という要件を満たした場合に限って命令を出せると規定しているところ、今回の命令は「その範囲を超えて出された命令」であるため「違法」というのが東京地裁の判断と言えます。 3.「賠償請求は認めない」という判断について Q ではなぜ都に賠償請求は認めなかったのでしょうか?違法な命令をしてGDに損害が出たのであれば、その損害は賠償しなければならないのではないですか? A ここで出てくるのが「過失責任主義」という法律の考え方です。これは、いくら相手に損害を与えたとしても、損害を与えた側に故意や過失などの落ち度がなければ賠償責任は負わない、という法律的な考え方における基本原則です。 Q そんな基本原則があるのですね! A これはある面では当然のことで、たとえば自動車を運転していて交通事故を引き起こしてしまったとしても、自分は完全に交通ルールを守っていて落ち度も一切なかったのに、相手に損害が出たなら即賠償となってしまったら安心して運転できませんよね。 本件において東京地裁は、命令自体は違法としながらも、命令を出した東京都知事については ・ 当時は専門家が一様に「命令は必要」と認めていたこと ・ 特措法に基づく命令が初で前例がなかったこと などから、過失はなかったと判断し、賠償責任までは認めないという判断をしました。 Q う~ん。GDとしては納得しがたいところかもしれませんね。 A そうですね。ただ東京地裁は「命令を出した当時の状況では」という前提で判断しているので、仮に今後同じような場面があった場合に、命令を出す時期やその時の状況によっては知事をはじめ行政側に賠償責任が認められる余地はありそうです。 4.ブライダル事業者としての受け止めについて Q ではこの判決から、私たちブライダル業界は何を教訓にすべきでしょうか? A 現在までのところ政府の基本的対処方針によれば、結婚式場は飲食店と同じカテゴリーで扱われていますので、この判決のニュースに関心をお持ちのブライダル関係者も多いと思います。 ただ、これはあくまで地方裁判所の判決で、控訴された場合、今後は東京高裁の判断を待つことになります。したがって、まだ司法としての最終的な判断が示されたわけではないことに注意が必要です。 また、今回の判決のように行政が一度出した命令等が後から「違法」と認定される場合があり得るとはいえ、だから「納得いかない命令等には従わないでよい」というわけではない点も気を付けたいところです。納得のいかない処分に対して不服を申し立てるのは当然だと思いますが、後から「違法」と認定される今回のようなケースは極めて稀であって、「従わない」という選択肢にはかなりのリスクが伴います。 Q となると・・・? A 残念ながら、この判決が出たからといって、ブライダル事業者にとって有利な「具体的な選択肢が増えた」などと考えるべきではないように思います。現時点では、まずは高裁や最高裁の判断を注目して待つ、ということになると思います。 一方で、行政側としては、今後特措法に基づく要請や命令を出す際には「より慎重に」その是非を検討しようという意識は少なからず生じるようには思います。 いかがでしたでしょうか? もう「第7波」「第8波」はまっぴらごめんですが、ブライダル事業者としては、今後、仮に感染が再拡大し同様の要請や命令が出された場合を想定し、少なくともこうした争いがあって、こうした判決が出ているのだという事実は正確に把握しておく必要があると考えます。 このまとめが皆様のお役に立てていれば幸いです。 (2)ブライダル産業フェアで会いましょう! 来る6月1日と2日に東京ビッグサイトで開催される『ブライダル産業フェア2022』にBRIGHTはブース出展し、かつ代表の夏目が講演の機会をいただいております。 皆様、是非とも「BRIGHTブース」そして「夏目の講演」にお越しください! 【BRIGHTブース】(6/1・6/2常時設置) 『スタッフ笑顔計画』と題して、法律のチカラを用いて、ブライダルの現場スタッフが「もっともっと目の前の新郎新婦に集中できる環境」を創り出すための、下記の具体策をご提案いたします!来て、見て、触って、BRIGHTブースで! (1) 毎月定額で安心サポート!「with BRIGHT顧問サービス」 (2) 規約説明を動画で!「ムービー婚礼規約」 (3) 業界の接客を根底から変える!「Be-Sign」(開発中) BRIGHT | 最新ブライダル業界情報なら、専門業界紙発行のブライダル産業新聞社 (bridalnews.co.jp) また、すでにご案内の通り、最近とてもお問い合わせの多い「チャレンジできる補助金を教えてほしい」というお声にお応えしたいと考え、BRIGHTブースにて『無料診断』も開催いたします!

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