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強まる「カスハラ規制」の先にあるものとは?
顧客が「過剰な要求」をしたり「言いがかり」をつけて事業者に対して不当な圧力をかける「カスタマーハラスメント(略して「カスハラ」)」を巡るニュースを、ここ最近テレビや新聞で目にする機会が増えてきました。
すでにBRIGHT NEWS vol.141でご案内の通り、厚生労働省は「労働施策総合推進法」を改正し、「カスハラ」によって従業員が過剰な心身の負担を受けることのないように企業に対して適切な対応を義務づける検討に入っていますが、その厚生労働省が事業者向けに各自「カスハラに対する基本方針」を制定することを推奨していることをご存知でしょうか?
これは令和3年2月に厚生労働省が発表した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」において示されているもので、各事業者に対して、
・「カスハラに対する基本方針」の制定と社内外への周知
・カスハラ被害にあったスタッフへのケア
・カスハラに対する社内教育の推進
等を呼び掛けているものです。
こうした動きも影響したのか、他業界と比較して「お客様第一」の意識が高いとされるブライダル業界やホテル業界においても、独自の「カスハラに対する基本方針」を策定し、悪質クレーマーと対峙した際には大切な従業員を守る旨を社内外に示す動きが見られ始めました。
BRIGHTとしてはこの方向性は大賛成であり、今後、厚生労働省が示した上記マニュアルを基盤に、そこにブライダル事業特有の実態を加味した「ブライダル流のカスハラ対策基本方針案」をまとめて提言する予定ですので、是非ご注目をいただけると幸いです。
なお、こうした動きに対しては「とは言え私たちはサービス業だし・・・」「クレームを受けた事業者に反省すべき点もあるのだし・・・」と抵抗を感じる方もブライダル業界内では少なくないと思います。
ただ、厚生労働省のマニュアルにおいても「顧客からのクレーム=カスハラ」という図式が採用されているわけではなく、あくまで「過剰な要求」や「不当な言いがかり」を「カスハラ」と定義して対策を呼び掛けているものであって、事業者側のミスや提供されたサービスに対するご不満の表明を軽視、無視または対抗していくものでは全くありません。この点はまず誤解なきようにお願いします。
そのうえで、婚礼現場において少なからず発生する顧客から「過剰な要求」や「不当な言いがかり」への対応に心を痛め、この業界から離れて行ってしまう仲間も少なくないという悲しい現実に目を向ける必要があります。せっかくブライダルというお仕事に憧れ、入ってきてくれた仲間が、「カスハラ」を原因に離れていってしまうのは業界全体にとっての痛手という他ありません。
そうした考えから、BRIGHTはこの2024年下半期は、先にご案内済みの「フリーランス保護法」とこの「カスハラ対策」に特に注力して動いていくことといたします。
なぜか?
それは、この2つのテーマの根底には、共通する超重要なテーマがあると考えているからです。
そのテーマこそ
「私たちは、ともに働く仲間を大切にできる業界なのか?」
という重い問いかけです。
たとえば「フリーランス保護法」に目を向ければ、私たちの業界は、フリーランスをはじめとした中小零細事業者の活躍なしには成り立たないところ、私たちの業界がこうした事業者さんを大切にしなければ(=大切にしていないようなイメージで見られてしまえば)、どうして今の「人手不足」が解消するのでしょう?そして、どうして優秀でやる気のあるフリーランスがわざわざブライダルに携わってくれるのでしょう?
それはこの「カスハラ対策」も同じです。カスハラが生じた際に守ってくれない会社、または業界に、若く希望に満ちた学生さんたちがわざわざ入ってきてくれるのでしょうか?また、若手のスタッフが永く働いていこうと思ってくれるのでしょうか?
法律が変わったり、行政の方針が変わったりするということは、他の業界も同時に対応に動くということです。もし私たちの業界がこれに後れを取れば、それだけ優秀な人材が私たちの業界から離れていってしまうことになるのは自明のことでしょう。
ただ一方で、私たちの業界がこのテーマに真剣に向き合い、「ともに働く仲間を大切にする環境」を創り出すことができれば、「ブライダルで働こう」「ブライダルのお仕事に携わろう」という素敵な仲間が集まってくるに違いありません。
それに向けた強い思いとともに、私たちBRIGHTは2024年下半期の取り組みを進めていきます。どうぞ皆様にはご注目を賜りますことを、心からお願い申し上げます。
なお、「カスハラ対策」については追って情報発信いたしますが、『フリーランス保護法』の概要について解説する動画はこちらから閲覧可能ですので「いまいち『フリーランス保護法』がよく分かっていない」「何をすればよいのか知りたい」という方は、まずこちらをご覧になってみてください!
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