A.衣裳の持込料が、独禁法に抵触するか、また消費者契約法に抵触するか、について解説します。
1.持ち込み規制が独禁法に抵触するのか?
「独禁法に抵触するのではないか?」とたまに指摘があるのは、同法で禁じている『不当な取引制限』についてです。
しかし、同法第2条第6項では
⑥この法律において「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。
と規定されているところ、持ち込み規制は会場が会場単体で決定したことであって
「他の事業者と共同して」決めたものではありません。
したがって、要件を欠く以上「不当な取引制限」には全く該当しません。
(そもそもこの条項はカルテルを防止する条項です。)
2.持ち込み規制が消費者契約法第10条に抵触するのか?
消費者契約法第10条は
第10条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
と規定しているところ、本来事業者はサービス内容を自由に決定できるはずで、いくら契約をしたからといって消費者がなんでもかんでも希望通り要求できるわけではないことは明らかです。
(たとえば旅行会社が主催する企画旅行に参加したからといって、旅行会社から「2日目のランチはこの食堂で」と定められたのに「ランチを限定されるなんて消費者の権利を侵害している」などと主張する人がいても通るはずがないですよね?)
もともと消費者に「いかなる衣裳でも持ち込んで着用することができる自由」は存在しないわけで、契約前に持ち込み規制についてきちんと説明がなされてさえいれば、それは適正な合意であって、「消費者の利益を一方的に害するもの」であるはずがありません。
むしろ後になってそれに異を唱えるのは、顧客側の契約違反とさえ言えます。
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