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重要な法律「消費者契約法」について解説します!

ブライダル業界においても極めて重要な法律の1つである「消費者契約法」について概説いたします。

新郎新婦に安心してご契約いただくための前提として、ご参考にしていただけたら幸いです。



1.どんな法律かを確認しよう


①「消費者契約法」は平成12年に出来た法律で、「消費者の利益の擁護」を図ることで「国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与すること」を目的(第1条)とし、②以降で紹介するような規定を設けて消費者保護を図っています。なお、「消費者」とは、事業者から商品やサービスの提供を受ける個人を言い、結婚式契約においては契約主体である「新郎新婦」がこれにあたります。


②事業者が消費者に対して「利益となること」を告げながら「不利益となる事実」を秘匿して誤認させ、申込または契約をさせた場合には、消費者はそれを取り消すことができることとしています(第4条第2項/不利益事実の不告知)。


③設定された解約料の水準が事業者に生じる「平均的な損害」を超える場合には、「超える部分」は無効としています(第9条第1号)。


④一旦契約が成立したとしても、その内容が「消費者の利益を一方的に害するもの」である場合には無効としています(第10条)。



2.ブライダルで何が問題になるのか?


 ブライダル事業において消費者保護法が問題になるのは、主に上記で列挙した「第4条第2項」「第9条第1号」「第10条」の3点です。


(1)第4条第2項

  営業の際に「(新郎新婦にとって)良いことばかり」案内をして「不利なこと」を説明せず、新郎新婦が「不利なことはないもの」と誤認して契約をしたのではないか、と疑われるケースに問題となり、従前は『解約料規定』や『持ち込み規制』の説明不足が問われた場面でよく取り上げられました。


  筆者が知る限りでは結婚式関係で明確に本条違反と断定された裁判例はありませんが、余計なトラブルを防ぐ観点から、『解約料』『日程変更料』等の負担に関することや、『持ち込み』に関する規制などについては、より注意して契約前に説明しておくこと、また説明したことを記録に残しておくことに注意が必要と考えます。


  なお、昨今、コロナ不安を理由とした解約を防ぐために「諸条件をつけて日程変更に促す」ことが多く行われていますが、後から「そんな条件があるとは聞いていなかった」「知っていたら解約していた」等の指摘を受けてお困りになったという事業者も多いようです。これも本条の問題になりえる場面ですので、事前の説明とその記録に留意いただければ幸いです。


(2)第9条第1号

  ホテル・結婚式場が定める解約料の水準が「平均的な損害」を超えた不当なものではないか、という消費者団体等からの指摘を巡っては、過去に最高裁まで争われ、業界団体(BIA)の示すモデル約款での算定方法の適法性が事実上認められています。


  ①BIAのモデル約款で示された数字はあくまで調査結果を基にした例で、本来は事業者ごとに算定を求めるものであること、②BIAのモデル約款が採用する「時系列」型の解約料が適さない業種においては、別の考え方で解約料を設定することも選択肢のひとつである、という2点について補足しておきます。


(3)第10条

  何をもって「消費者の利益を一方的に害するもの」と判断するかについては線引きが難しいところで、一部の消費者団体等からはブライダル業界における一般的な『持ち込み規制』に対して本条の適用を指摘する声が上がっていました。


  しかし、それを認めるような裁判例は聞いたことがありませんし、そもそもサービス内容の設定においては事業者側にも広く自由が認められているはずですので、一般的な『持ち込み規制』そのものが消費者契約法違反に問われる可能性はまずないというのが筆者の見解です。むしろ注意すべきは「その規制の存在を契約前に正しく説明できているか?」という、「不利益事実の不告知」(第4条第2項)の観点と考えます。







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