A.下請法やフリーランス保護法で禁じられる
「不当な経済上の利益の提供」等における「不当性」については
実態ごとに公正取引委員会等の監督機関が有無を決定するので
なかなか「これはOK」「これはNG」とこちらで判断することは難しいです。
ただし法的な大前提の話からすれば、
業務委託契約の場合には予め取り決めていない業務に対応する義務は
受託側にはないので「契約書にない労力を提供させること」は元々契約違反であり、
それを事実上強制したり迫ったりすれば上記の「不当性」が認められやすくなります。
したがって、
「契約書」においても予め「年●回を目途に技能向上のための研修やセミナーに
参加してもらう(ただし会社負担)」というようなことが書かれていたのであれば、
その範疇で研修に行かせても「不当ではない」という判断に傾くと考えます。
また、業務を提供する上で最低限の知識や技術を教えるための独自の研修があり、
たとえば「1回1時間だけ受講せよ」というような限定的な指示であっても、
常識的に「不当ではない」と言えそうです。
一方で、いくら技能向上を目的に、かつ受講料を会社が負担するとしても
受託側の意思に関係なくセミナーや研修に参加させるのは、
「契約上の義務でないことをやらせている」という意味で「不当だ」という
指摘を受けるリスクは高まると思います。
仮に受講料を会社が負担していても、その時間は本来別のことで「稼ぐことができる」
わけで、その時間の使い方を強制されるという意味で不当だと言われると、
一理あるかと思います。
したがって、契約フォトグラファーさんに今後もそのような案内をするのであれば、
フリーランス保護法施行前のこのタイミングで改めて書面を巻き直し、
その中でセミナーや研修についての条件も入れておけば安心かと思います。
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